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UQ WiMAX 2+の「3年縛り」プラン登場へ 気を付けるべきは「7GB制限」5分で知る最近のモバイルデータ通信事情(2/2 ページ)

UQコミュニケーションズが予告していた、WiMAX 2+サービス用「LTEオプション」の無料提供対象拡大。その詳細がついに発表されました。既存ユーザーも含めて「3年縛り」を受け入れることが条件となりましたが、気を付けるべきポイントは契約期間以外にもあります。

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新料金プランのアキレス腱は「月間7GB」制限

 「3年縛り」という条件はあるものの、「auスマートバリューmine」に加入しなくてもLTEオプションが無料で使える選択肢が用意されたことは歓迎すべきことです。しかし、LTEオプションにはまだ超えるべき「課題」があります。

 UQは2月から、直近3日間の通信容量の制限しきい値を「3GB」から「10GB」に改め、制限がかかる時間も「超過翌日の18時頃から翌々日の2時頃まで」に短縮しました。

 しかしながら、ハイスピードプラスエリアモードで月間7GBを超える通信を行った場合に、WiMAX 2+単独時(ハイスピードモード)も含めて通信速度が上下最大128kbpsに制限される問題は解決していません。厄介なことに、この制限は一度適用されると翌月まで解除されない上に、追加料金を支払って解除する方法も用意されていません。

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WiMAX 2+サービスの「通信速度制限」
内容 3日10GB制限 月間7GB制限
制限条件 直近3日間の「WiMAX 2+」「au 4G LTE」におけるデータ通信量が10GBを超えた場合 「ハイスピードプラスエリアモード」中のデータ通信量が月間7GBを超えた場合
制限時間 18時頃から翌2時頃まで 当月末まで
規制時の通信速度 最大1Mbps程度 最大128kbps

 現行のハイスピードプラスエリアモード対応機種では、通信モードをハイスピードプラスエリアモードに切り替えようとすると「追加料金が発生する」という旨の警告が出ます。新料金プランになって「追加料金はかからなくなった!」と気を良くしたユーザーがハイスピードプラスエリアモードを多用し、結果上下128kbpsの速度制限にひっかかってしまう――そんなことが起こるのではないか筆者は危惧しています。


対応機種でハイスピードプラスエリアモードを設定しようとすると、このような警告が出る

 ハイスピードプラスエリアモードに対応するWiMAX 2+ルーターには、同モード利用時の通信量をチェックする機能が備わっています。これ活用すれば、しきい値である「7GB」を超えないように気を付けることはできますが、「うっかり」超えてしまう可能性は排除できません。例えば、ノートPCやタブレットのOS更新がバックグラウンドで始まって、気付かぬうちに通信量が増えていた――なんてことは珍しくはありません。

 そう考えると、大半のユーザーは「ハイスピードプラスエリアモードでの通信量が月間7GBを超えないように予防措置をとってほしい!」と考えるはずです。しかし、UQとそのMVNOが提供するWiMAX 2+ルーターには現状、そのような機能はありません。

 UQの外に目を向けると、NECプラットフォームズのSIMロックフリーモバイルルーター「Aterm MR05LN」には、設定した通信量を超過した場合にデータ通信をストップする機能が備わっています。このような機能を何らかの形で実現できれば、うっかりによる速度制限は防げそうです。


「Aterm MR05LN」には、通信量が一定以上になる通信停止する機能がある

 UQの新料金プラン発表では、ハイスピードプラスエリアモードにおける「月間7GB」に関する仕様は変わりませんでした。ユーザーが意図せずに速度制限の対象となってしまうことは、UQとしてもユーザとしても本意ではないでしょう。何らかの改善に期待したいところです。

WiMAX 2+通信機器の「機種変更」はどうなる?

 今回の新プランにおいて、もう1つ気になることがあります。「契約期間中の機種変更はどうなるのか?」という点です。

 新料金プランでは、契約期間が3年間に設定されています。「3年間」もあれば、ルーターのスペックは飛躍的に良くなる可能性があります。2013年10月に発売されたWiMAX 2+初号機「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD14」の通信スペックは下り最大110Mbps・上り最大10Mbps(ともに理論値、以下同)でしたが、2015年1月には下り最大220Mbps・上り最大10Mbps、2016年12月に下り最大440Mbps・上り最大30Mbpsとルーターのスペックは着実に向上しています。

 「機種変更≒契約のし直し(解約新規)」となっている現状も加味すると、筆者は「3年間という契約期間は長すぎるのでは?」と率直なところ思ってしまうのです。

 UQと一部MVNOについては、UQのWebサイト上でWiMAX 2+ルーターの機種変更を受付しています。が、MVNOにおいてこのサービスに対応しているのは6社にとどまっており、これ以外のMVNOでは契約期間内にWiMAX 2+通信機器の機種変更ができない可能性があります。


UQは自社と一部MVNOユーザー向けにWeb限定で機種変更を受け付けているが、対象外のMVNOでは3年間機種変更できない可能性が……

 契約中の事業者で機種変更できない場合、いわゆる「白ロム」として販売されている機種を中古ショップやネットオークションなどで購入する方法もありますが、「正規の手段があるなら、正規に機種変更をしたい」という人も少なくないはずです。

 契約期間が長くなるのであれば、「契約期間中に最新機種に変更できるかどうか」が、MVNOを選択する際の重要なポイントになるかもしれません。


秋葉原の中古ショップに並ぶ「W03」白ロム。機種変更できないMVNOでは、最新機種に買い換える方法が中古(新古)品に頼らざるを得ない可能性がある
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