「nuroモバイル」の戦略を聞く 「5時間」プランの手応え、「0 SIM」の現状:MVNOに聞く(4/4 ページ)
2016年10月からMVNOのブランドをリニューアルし、「nuroモバイル」を提供しているソニーネットワークコミュニケーションズ。2017年2月には5時間プランの提供も開始した。「0 SIM」と合わせ、nuroモバイルの戦略を聞いた。
ソニーモバイルとの連携は?
―― 同じブランドで展開しているということで、NURO光とのセット販売のようなことは考えているのでしょうか。
細井氏 一部販路では一緒にやってはいますが、直接的にはやっていません。NURO光が一都六県の関東のみで、モバイルサービスはドコモエリアで全国に提供しているからです。大々的にはできないので、時期を見ながらですね。
―― 販路はネットが中心になっていますが、リアル店舗を強化するなどのお考えはありますか。
細井氏 今は直販のWebからのお申し込みと、家電量販店さんにご協力いただいている状況です。販路が大きくこの2つというのは、変わりありません。他社が店舗展開をしているのは見ていて、研究はしていますが、今のところ、お客さまへのリーチはこの2つですね。
―― あまり派手な展開はしないということだと思いますが、現状、シェアはどの程度でしょうか。
松井氏 調査会社によってまちまちですが、弊社は10本の指の前後に入っていることが多いですね。
細井氏 ギリギリですが(笑)。さすがに某社のように、年がら年中広告を打つことはできません。そこと真正面からぶつかって本当に訴求できるのかと考え、違った戦略でやっています。目立ってはいないかもしれませんが、直販や量販店の流れでサービスに加入していただこうとやっています。
松井氏 店舗展開や広告には、費用がかかります。私たちは適切な価格で、シンプルなサービスを展開したい。規模を追うことも大事ですが、それよりも違いを大事にしたい。5時間プランもそうですが、違いを追って、事業を良質なものにしていきたいと考えています。
細井氏 今、自分たちができることをやりながら、お客さまに選んでいただける最適解は何かを常にウォッチしていこうと思います。やみくもに価格競争に追従したり、複雑にしたりするのはやめる。So-netブランドのときのユーザーと、ソニーの製品をお使いいただけるユーザーにご理解いただける形で、サービスを訴求していきたいですね。
―― 「違いを追う」というのは、先日ソニーの平井CEOもおっしゃっていましたね。グループという意味では、現状、御社はソニーモバイルの傘下で、社長も同じ十時氏ですが、あまりシナジー効果が出ているようには見えません。ソニーモバイルとの連携は、どのようにお考えでしょうか。
細井氏 今回のサービスは、もともとSo-netにあったサービスを統合し、シンプルに分かりやすくしたものです。そのお客さまの(端末に対する)ニーズは、ミドルレンジにあります。今、お客さまのお声を聞いているところで、ニーズがあれば、そういった検討もさせていただきます。ここについては、あらためて方向性が決まったらお知らせします。
取材を終えて:ソニーグループを生かした取り組みにも期待
ブランドを一本化し、料金プランもシンプルになったnuroモバイル。MVNOの料金が横並びになりつつある中、5時間プランのような目新しいサービスで差別化も図れている。用途は限られるが、0 SIMも音声通話中心のユーザーニーズに合致しているといえそうだ。
一方で、話を聞く限り、販売戦略が少々弱いようにも感じた。ブランドを刷新してからまだ1年もたっていないため、判断をくだすのは時期尚早かもしれないが、ソニーモバイルの製品や、NURO光との連携など、ソニーグループであることを生かした取り組みにも期待したいところだ。
基本情報から価格比較まで――格安SIMの情報はここでチェック!→「SIM LABO」
関連記事
「nuroモバイル」が新サービスを発表 「5分かけ放題」「5時間プラン」「パケットギフト」を2月1日から提供
ソニーネットワークコミュニケーションズのMVNOサービス「nuroモバイル」が2月1日からサービスを拡充する。プレフィックス型の格安電話サービスのほか、1日5時間まで高速通信できる新プランやユーザー同士がパケット通信量を送りあえる仕組みを導入する。ソニーネットワーク、新MVNOサービス「nuroモバイル」を開始 700円/2GBから
ソニーネットワークコミュニケーションズが「nuroモバイル」を10月1日に開始。料金プランは月額700円/2GBから月額2300円/10GBまで、1GBごとに200円がプラスされる。容量繰り越しやプラン変更にも対応している。nuroモバイルって、なんだっけ?
最近元気なMVNOのひとつ「nuroモバイル」は、もともとSo-netが運営していたMVNOサービスがブランドを一新したもの。このSo-netのモバイル事業、実は案外深い歴史があります。「LINEモバイル」と「楽天モバイル」が安定、「0 SIM」は厳しい――「格安SIM」19サービスの実効速度を比較(ドコモ回線2月編)
格安SIMを選ぶうえで料金と並んで重要な「通信速度」。本企画では、主要な格安SIMサービスの通信速度を月に1回、横並びで比較する。今回は2017年2月のドコモ回線を使ったサービスの測定結果を紹介しよう。“500MB未満まで0円”の衝撃、果たして採算は?――ソネットに聞く「0 SIM」の狙い
500MB未満までなら一切通信料がかからない、ソネットの「0 SIM」は、登場直後から大きな話題を呼んだ。ユーザーにとってはありがたいが、収益は出せるのだろうか? ソネットの担当者に疑問をぶつけた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.