携帯電話の「2年縛り」と「4年縛り」 総務省は何を問題視している?
携帯電話の「2年縛り」と「4年縛り」の問題がクローズアップされている。2年縛りは長く携帯キャリアが実施してきた施策だが、あらためて何が問題なのか? そして4年縛りとは?
総務省が全6回にわたって実施してきた「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」では、「2年縛り」「4年縛り」の問題点がクローズアップされた。
2年縛りはキャリアが長く実施してきた施策だが、これに関して野田聖子総務大臣は、4月24日の記者会見で、「利用者の不測の費用負担を求めることになりかねない」という理由で、3キャリアに行政指導を行うと発言している。
「利用者の不測の費用負担」とは何を指すのか? この問題点は、検討会の第6回でも議題に挙がっていた(関連記事)が、念のため総合通信基盤局 電気通信事業部 料金サービス課に確認した。2年間の利用を約束する契約では、更新期間に解約しないと、1万円近くの解約料を支払わないといけない。しかし更新期間は、3キャリアとも2年経過後の25カ月目~26カ月目に設定されているため、25カ月目に解約をしても、その月の月額料金を支払う形となる。つまり2年縛りと言いつつ、実態は「2年1カ月」か「2年2カ月」の縛りになっている。
総務省としては、2年分ちょうどの料金で解約できるように是正していく。今後は24カ月目で、解約料無しで解約が可能になることが期待される。行政指導のタイミングは、検討会での議題や方策をまとめた「報告書」の公開後とのこと。報告書は4月27日に公開されているため、近日中に行政指導が行われるとみられる。
4年縛りとは、auの「アップグレードプログラムEX」やソフトバンクの「半額サポート」など、1年後や2年後などに機種変更すると、割賦残債の半額を免除する施策に関連するもの。これらの施策では、機種変更しない場合は最長で48回払いとなる他、途中で解約をすると24回払いよりも高額な残債を支払わないといけなくなる。野田総務大臣は「途中で事業者を変更すると支払不要と思っていた代金の支払いを求められるため、事業者を変更しづらいというデメリットもある」と4月27日の記者会見で話している。
そこで、契約時にこういったデメリットも含めた説明を徹底すべきだと、報告書にまとめている。総務省ではこれを受けて、4年縛りをキャリアや販売代理店による契約前説明の対象とするよう、消費者保護ガイドライン改正の手続きを進めていく。
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