“飛び出すインカメラ”でほぼ全画面化 先端技術で先ゆく中国スマホメーカー:山根康宏の中国携帯最新事情(3/3 ページ)
2018年6月に、中国メーカーがエポックメーキングともいえる最先端のスマートフォン2モデルを発表した。切り欠きなしのベゼルレス化を実現しているVivoの「NEX」とOPPOの「FIND X」だ。この新ギミックは、長年の製造ノウハウがあって誕生したといえる。
中国メーカーの技術力は「本物」だ
Vivo NEXの上位モデル(NEX S)にはディスプレイ埋め込み型の指紋認証センサーも搭載されている。これはSynapticsが開発したセンサーを搭載している。Vivoは2018年に入って「X20Plus UD」「X21 UD」とディスプレイ埋め込み型指紋認証センサー搭載モデルを出しており、NEXは3機種目の製品である。
同じ技術を搭載した製品はまだ他社から数えるほどしか出てきていないが、消費者が毎日使う製品にこの技術を搭載するのはまだ容易ではないのかもしれない。しかしVivoにはそれを製品に搭載する技術があり、さらには製造後の品質管理体制もきっちりしていることから、次々と製品化を進めることができるのだろう。
OPPOのFIND Xは逆に指紋認証センサーを廃止してしまった。インカメラだけではなく本体上部全体が一緒に動くことから、顔認証関連のセンサーを多数配置することができるのだ。3D顔認証はiPhone X同様に高い認識力とセキュリティを持つ。指紋センサー廃止を惜しむ声も聞かれるものの、iPhone Xという前例があるので、ユーザーが戸惑うことはないだろう。
FIND XにはOPPOが独自開発した高速充電技術「VOOC」(Voltage Open Loop Multi-step Constant-Current Charging)も採用されている。VOOCは他社の高速充電よりも急速な充電が可能だ。端子形状はMicro USB(FIND X以前の製品)またはUSB Type-Cだが、専用のACアダプターとUSBケーブルが必要だ。
VOOC対応ケーブルやACアダプターはコネクターの絶縁部分が緑色になっており、VOOC対応であることを分かるようにしている。緑はもちろんOPPOのコーポレートカラーで、USB 3.0が青色で区別していることに倣ったのだろう。VOOCが初めて搭載されたのは前述のN3。つまり既に約4年の歴史を持っているが、事故の話はなく安全性も高い。
VOOCはOPPOのスマートフォンの特徴の1つであり、「5分の充電で2時間通話」もアピールポイントになっている。しかもFIND Xの特別バージョンである「FIND Xランボルギーニモデル」にはさらに性能を高めた「SuperVOOC」が採用される。これは5V/10Aつまり50W充電が可能なもので、4000mAhのバッテリーを0%からわずか35分で100%充電可能だという。
Vivo NEXとOPPO FIND X、この2機種はカメラが動くギミックに目が奪われがちだが、それ以外にも注目すべき技術を搭載している。日本人から見ればまだまだと思える部分もあるだろう。しかし中国メーカーの技術力が年々各段に高まってきていることは、この2機種を見れば明らかだ。さらに中国メーカーはアイデアを実際に形にしてしまう製品開発力も持っている。中国メーカーの躍進が続く限り、スマートフォン市場はこれからますます面白くなっていくだろう。
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