「P20」シリーズでキャリア/SIMフリー市場を攻めるHuawei 呉波氏に聞く、夏商戦の意気込み:SIMロックフリースマホメーカーに聞く(3/3 ページ)
SIMフリー市場を切り開いてきたHuaweiだが、2018年は大手キャリアへの進出を本格化させている。この夏に、3キャリアから同社のスマートフォンが発売された。ファーウェイ・ジャパンで、デバイス部門のプレジデントを務める呉波氏に夏商戦の意気込みを聞いた。
ドコモ専売は契約を結んだわけではない
―― ドコモ独占は結果としてそうなったのか、何か契約を結んだのか、どちらでしょうか。
呉氏 ドコモ専売に関しては、特に契約を結んだわけではありません。過去にも、同じようにエクスクルーシブで販売してもらうケースはたくさんありました。ただ、その経緯は私からお話することはできません。
―― ということは、ストレージがちょっと増えた「P20 Pro Plus」のような製品がSIMフリーで出たりすることもあるのでしょうか(笑)
呉氏 実際のころ、MVNO各社で10万円を超えるスマートフォンを扱っているところは、非常に少なくなります。Mate 10 Proを取り扱ったのも、ほんの一部のMVNOだけでしたし、今でもMVNOの中では一番高い端末の1つになっています。10万円以上の端末を複数にするかどうかは、MVNOの戦略によるところが大きい(ので難しい)ですね。
―― P20シリーズが続々と発売されましたが、今年(2018年)はまだhonorシリーズの話がありません。こちらはいかがでしょうか。
呉氏 実はhonorシリーズは今、自分の管轄下にありません。そのため、私が何かコメントすることはできないのです。honorのターゲット層や販路は、Huaweiのそれとは違います。
―― おや? 以前は担当されていましたよね。
呉氏 途中から変わりました。実はこれも、初めてお話ししたことです。
―― 最後に、今後の目標を教えてください。以前は「生き残ること」とおっしゃっていましたが、これだけ幅広い販路で端末が出ていれば、そう簡単には突然生き残れなくなることはないと思います。
呉氏 そうですね。確かに3大キャリアに入ることができましたが、あくまでまだ第一歩です。しかも、ドコモに関しては2回目の第一歩ですから(笑)。しいて新しい目標を言うなら、これを継続させることです。きちんと2歩目に踏み出すことができるかが重要です。2歩目を踏み出すことができなければ、弊社にとっては大きな課題になると思います。
日本での目標は「生き残ること」と言い続けてきましたが、これは弊社の社員に、消費者に対して謙遜の気持ちを持ってほしいと思っていたからです。外資系の企業として、現地のトップを務めて今年(2018年)で8年目になります。他社でトップが変わると急にワンマンになってしまうという話を聞きますが、自分はそうならないよう、常に気を引き締めています。
トップが偏った考えを持ってしまうと、どうしても社員に影響が出てしまいます。弊社の企業文化は、お客さま第一です。自分は会社の幹部として、それをきちんと実践していかなければいけないと考えています。
取材を終えて:販路ごとに端末を出し分ける戦略が成功
P20シリーズはまだ発売されて間もないが、初速の動向を聞く限りでは、販路ごとに端末を出し分けるHuaweiの戦略が奏功したように思える。一方で、久々のキャリアから発売されるフラグシップスマートフォンのためか、インタビュー中にやり取りがあったように、まだこなれていないところが残っているのも事実だ。こうした点は、経験を積んで、改善していく必要がありそうだ。
P20 ProとP20 liteの板挟みになっているように見えたP20についても、MVNOユーザーでハイエンドを求める層に、きちんと届いていたことがうかがえる。2017年のP10、P10 Plusのように2機種に分散していない分、リソースも集約でき、効率よく販売していくことができそうだ。SIMロックフリーで市場を切り開いてきたHuaweiには、今後もSIMロックフリーのハイエンド端末を積極的に投入してほしいと感じた。
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