CESで大人気! 折り曲げスマホ「FlexPai」への期待と不安:ふぉーんなハナシ(2/2 ページ)
「CES 2019」で大きな注目を集めたRoyole(ロヨル)のフレキシブルスマホ「FlexPai(フレックスペイ)」。実際触ってみると、期待を感じる一方、一抹の不安も……。
カメラもフォルダブルを生かしている
カメラは、本体の表面に2つ搭載しています。いわゆる「デュアルカメラ」というやつです。
本体を折り曲げられることを生かして、このデュアルカメラはインカメラにもアウトカメラにもなります。本体を開くとインカメラとして、折りたたむとアウトカメラとして使えるという寸法です。発想的には、N-05EやZ-01Kのカメラと同じですね。
何枚か写真を撮った限り、撮影品質はそれほど悪くなさそう。ただ、CESの展示会場内というクローズドな環境だったので、いろいろな被写体を撮影すると印象が変わるかもしれません。
カメラのユーザーインタフェース(UI)は、どことなくiPhone(iOS)のそれにそっくり。程度の差こそありますが、中国系のメーカーのカメラUIはiPhoneに似せる傾向にあります。そう考えると「ご多分に漏れず」ともいえます。
撮影モードは「ポートレート」「夜景」など、最近のトレンドをしっかりキャッチアップしています。ちょっと面白いのは「Children(子供)」という撮影モードを持っている点。若干慌てていたせいもあり、試し忘れてしまったことが悔やまれます……。
モノは大変良い しかし不安もある
「開発者向け」ではありますが、FlexPaiは既に中国で発売済み。米国でも開発者向けモデルの受注を開始しており、今注文すると「納期は2~3月」(説明員)だそうです。
今回CESで展示されたFlexPaiも開発者向けモデルですが、モノの質感は大変良好。画面の折り曲げも、とてもスムーズです。
「20万回の開閉試験を実施している」(説明員)こともあり、よほどのことがない限り、モノとしては買ってから2~3年は問題なく使えると思います。
しかし、FlexPaiには不安要素もあります。1つはソフトウェアです。というのも、画面の開け閉めをする際に、画面の切り替えが“もっさり”なのです。
UIの描画具合は、ユーザー体験(UX)を左右する要素の1つ。誤操作防止の仕組みなど、描画面以外におけるソフトウェアの出来はとても良好なので、製品版発売までにこの点は何とかしてほしいです……。
もう1つは、折り曲げた際の厚み。「大画面をタブレットを持ち歩ける」という観点では確かにコンパクトなのですが、従来の2画面スマホと比べるとどうしても厚みが出てしまいます。胸ポケットはもちろん、ズボンのポケットにも入らない(入っても不格好になってしまう)可能性も……。
フレキシブルディスプレイによる「シームレスな大画面」は、従来の2画面スマホにない魅力。FlexPaiの“厚み”は、現時点では「トレードオフ」と割り切るのが正解なのかもしれません。
技術革新によって、折り曲げの厚みが削減されることを期待したいです。
強いていえば高価であることも不安(現時点での価格は約17万~19万円)ですが、製品版になれば量産効果である程度値下げを期待できると思われるので、そこまでの不安にはなりません。
折り曲げスマホ元年 メーカー間の切磋琢磨に期待
折り曲げできるスマホはRoyoleの他、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)や中国Huawei(華為技術)など大手を含む複数メーカーが開発を表明しています。ある意味で、2019年は「折り曲げスマホ元年」 といえるでしょう。
Royoleは、自社の持つフレキシブルディスプレイの強みを生かしてFlexPaiを生み出しました。恐らく、Samsungも自社のAMOLED(有機ELディスプレイ)技術を生かした製品を出してくるのでしょう。
ともあれ、メーカー間の切磋琢磨によって、折り曲げスマホが盛り上がることが期待できそうです。
(取材協力:Consumer Electronics Association)
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