コード決済はなぜ使わない? ユーザーの声から見えた課題(3/3 ページ)
PayPayの100億円キャンペーンを皮切りに、コード決済が日本でも盛り上がっている。そんな中でも、まだコード決済を使わない人も当然多い。なぜか? MMD研究所が開催したユーザーの座談会から、コード決済の課題が見えてきた。
決済もポイントも1つのサービスにまとめたい
青山さんも西城さんと同じく、以前からコード決済には興味があるものの、なかなか手を出せずに困っている1人。PayPayのキャンペーンは報道も含めて非常に注目度が高かったが、その後も異業種が相次いで参入したこともあり、「どれを選んで良いのかが分からない」という。しかし、周囲でも使い始めている人が増えてきており「そろそろ使おうか悩んでいる」と述べた。
一方で青山さんも西城さんと同様に、「使い方を誰に相談すればいいのか分からない」と悩むが、利用を検討している候補は挙がっている。楽天ペイかLINE Payで迷っており、2つを挙げた理由は、楽天ペイのネット広告を多く見受けるのと、LINEは知人とのやりとりで使っているため。
例えば、楽天ペイはポイントの還元率が高ければ使ってみたいという。普段はSuicaやnanacoでの支払いが多く、Tポイントカードも所有しており、カード類が増えていると悩んでいる。だから決済もポイントも1つのサービスにまとめたいとのこと。
これに加えて「現金を厚い札束で持ち歩きたくない」との理由で、普段は基本的にICカードで支払うことが多いという。
コード決済の非利用者がPayPayを体験して
座談会の後は、まだコード決済サービスを使ったことがない西城さんと青山さんが、オフィスグリコのQRコードを用いてPayPayでのスキャン支払いを体験した。
普段はモバイルSuicaやクレジットカードを使っている西城さんは、それと比べるとコード決済(スキャン支払い)は金額入力で思ったより手間が掛かると指摘。「利用者の皆さんがレジで手間取ってしまうと申し訳ないと言っていた気持ちが理解できた」と話した。
ただ、QRコードの読み込みは早く、普段使うQRコードの読み込みと同じ印象を受けたという。「(店員が読み取る)バーコード支払いならもたつかないと思う」とし、体験後「どういう使い勝手なのかは理解できたので、登録して利用したいと思う」と体験前から一歩前進したようだ。
一方の青山さんは体験後、「思ったより簡単だった」と話した。「QRの読み込みもスムーズだった。ダウンロードして利用したいと思った」と、候補ではなかった「PayPayを利用したいと思う」と話した。
PayPayに決めた理由については「キャンペーンを派手にやっているのと、ソフトバンクの子会社だし、孫さんの会社なので信用できるから」と話した。
取材を終えて:コード決済サービスは“入口”が分からない
5人とも既にPayPayの100億円キャンペーンを認知しており、各メディアが大々的に報じたことも影響していると感じた。さらにPayPayは地方のサービス事業者や小さな商店街などが採用していることもあり、キャンペーン効果と同時にサービス名称も広く知れ渡っていると感じる。
一方で、PayPayに限らず、各決済事業者には欠けている点もある。それはまだ利用していない人をうまく囲い込めていないことだ。
携帯電話キャリアに関連するd払い、au PAY、PayPayなどのコード決済サービスは、一部の携帯ショップでサービス概要について説明を受けることもできるが、LINE Payや楽天ペイなどは携帯キャリアと異なり、対面で話せる専用の窓口がない。そのため、入口がネットからと狭い。
PayPayのキャンペーン効果もあり、コード決済サービスは徐々に認知され始めているが、使える場所もサービスごとにバラつきがあり、複数を使い分けるユーザーにとっては煩わしい。キャンペーンでユーザーを集めるのは戦略の1つではあるが、まだ使ったことがない人や、サービス利用者で困っている人へのアプローチが足りていないと感じた。
この記事を通じて、実際のユーザーやまだ使ったことがない人の困り感が少しでも多くの事業者に伝わることを期待したい。
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