ユーザー数900万、加盟店70万を突破 PayPayが放つ次の一手とは?:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
「SoftBank World 2019」で同社グループのPayPay副社長の馬場一氏が最新戦略を語った。馬場氏によると、7月18日にPayPayは900万加入を達成。「間もなく1000万になる」と自信をのぞかせた。店舗とユーザーの接点を強化する機能を実装していくのが今後の目標だという。
大規模キャンペーン抜きでどこまで定着させるかが課題か
一方で、講演で示されたデータからは、PayPayが抱える課題も見えてきた。確かにユーザーの決済回数はキャンペーンのたびに跳ね上がっているが、それが終了すると、一気に大きな谷ができてしまう。馬場氏は「キャンペーンばかりやっているので基本的なサービスが認知されていないが、通常でも3%が戻ってくる」と語っていたが、大規模な還元に慣れたユーザーが、3%では満足できなくなる可能性もある。
還元以外で、ユーザーの使い勝手を高める努力も必要になりそうだ。講演では、セブン銀行のATMからPayPayにチャージできる新機能が紹介されていた。馬場氏によると、「11日から始まってものすごい勢いで使われている」というが、銀行からのチャージももっと拡充する必要がありそうだ。大手都市銀行では三菱UFJ銀行がPayPayへのチャージに対応しておらず、ネット専業銀行でも抜け落ちているところが多い。
機能面でも、まだ物足りない部分は多い。筆者は実際、主要な〇〇Payを日々、使い続けているが、支払いのスムーズさではFeliCaに対応したLINE Payやメルペイに軍配が上がる。また、対応店舗の広さという意味では、JCBのプリペイドカードとして使えるLINE Payの安心感が高い印象だ。
実際、7月18日にMMD研究所が発表したコード決済の利用動向調査では、PayPayが利用頻度ではトップになっていた一方で、満足度はメルペイに大きく水をあけられていた。満足度を項目別に見ていくと、支払いのスムーズさや機能の豊富さで、メルペイやLINE Payとの差が顕著に出ている。2月に100億円キャンペーンを発表した際は、同社の代表取締役社長執行役員CEOの中山一郎氏が「ユーザーの声を聞き、必要と思えば(FeliCaへの)取り組みを検討したい」と語っていたが、今後の対応に期待したいところだ。
関連記事
QRコード決済で利用頻度最多は「PayPay」、満足度トップは「メルペイ」――MMD研究所が調査
MMD研究所が「2019年7月 QRコード決済の満足度調査」の結果を発表。利用頻度が最も高いサービスは「PayPay」で、約7割が1週間に1回以上利用。利用上位6サービスのうち、総合満足度トップは「メルペイ」となったという。7pay騒動から見えた、モバイル決済の懸念 生き残るために必要なものとは?
不正利用が発覚した「7pay」の問題が収束する気配が見えない。セブン社内でも混乱が続いているようで、セキュリティ対策と顧客サポートの両面で手が回っていない印象を受ける。この7payを含む「コンビニPay」と、銀行が提供する「銀行Pay」を含めた、モバイル決済全体の課題を整理する。PayPay残高の名称や有効期限が変更 「PayPayマネー」は出金も可能に
PayPayは、2019年7月29日からPayPay残高の名称や有効期限などを変更する。「PayPayライト」は「PayPayマネーライト」に、「PayPayボーナスミニ」は「PayPayボーナスライト」に名称を変更する。9月30日以降、「PayPayマネー」から出金も可能になる予定。PayPay、8月特典はランチタイムに最大20%還元 コンビニも対象
スマホ決済サービス「PayPay」が行う「いつもどこかでワクワクペイペイ」8月特典は、ランチタイムの利用で最大20%のボーナスが還元される「PayPayランチ」を実施。今回は飲食店やスーパーマーケットに加えて「セブン‐イレブン」「ファミリーマート」「ローソン」などのコンビニエンスストアが対象店舗となる。PayPay中山社長インタビュー 「100億円祭り」と「クレカ不正利用問題」が残したもの
「100億円あげちゃうキャンペーン」が大きなインパクトを残した「PayPay」。わずか10日間でキャンペーンが終了したかと思ったら、クレジットカードの不正利用問題も勃発。キャンペーン終了直後に、PayPay中山社長にお話を聞く機会を得た。PayPayはどこに向かうのか?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.