言葉では伝わらない新iPhone 11とApple Watchのすごさの本質:0.01ドルに気付かされた新製品の価値(3/4 ページ)
9月11日(現地時間)、Appleのスペシャルイベントで数多くの製品が登場した。発表会の情報だけでは分からない、iPhone 11シリーズと新型Apple Watchの魅力に迫る。
大幅進化のApple Watchが浮き彫りにした日本の行政の課題
Apple Watch Series 5では、先に挙げた特徴に加え、本体の素材バリエーションが増えた。ファンが多かった真っ白なセラミックと2色のチタニウム素材が、新たにApple Watch Editionとして加わった。
本体の素材が増えるのと同時に、純正バンドも種類が増え続けているのを受けて、「Apple Watch Studio」というサービスも始まった。これは本体とバンドの組み合わせを自由に選んでオーダーするサービスで、Apple直営店で実物を見ながらオーダーすることも、Apple Watchの公式ホームページから画面上で組み合わせを選んでオーダーすることもできる。
2つ目の特徴である画面が消えないLPTO技術のRetina Displayだが、消えないからといってずっと明るいままなわけではなく、しばらく放置しておくと少しだけ画面が暗いdimモードになる。
面白いのは、このdimモード時に色合いや見た目が変わるフェース(時計の盤面)がいくつか用意されていることだ。ちなみにApple Watchには周囲の明るさが分かる照度センサーが入っており、映画館などの暗い場所では自動的に画面が暗めになる。またシアターモードを選べば画面を消すこともできる。
3つ目のコンパス機能は、当然、Appleの純正機能だけでなく他社製のアプリでも活用可能で、例えばレストランガイドのYelp!ではレストランがどちらの方向にあるかを表示する機能を追加、また天体アプリのNight SkyはApple Watchを向けた方向の星の名前を表示するように進化する。
発表会では、Apple Watchがこれまでに心臓の突然の異常などを察知して大勢の命を救ってきたことが、実際に命を救われた大勢の人たちが登場するビデオで紹介された(Appleの元には、こうしたことを感謝する手紙やメールが常に大量に届いているようだ)。
今回、そうした命を救う新機能として、旅行先などにいても世界中で「International Emergency Calling」という機能が搭載される。ホテルにiPhoneを置いたまま、Apple Watchだけを付けて出かけたジョギング中に、突然、事故にあったり事件に巻き込まれたりしたとき、Apple Watchで「緊急電話」の機能を呼び出せば、その国の緊急電話の番号を知らなくても電話が通じるのだ。
ところが、この機能にはちょっとだけ課題があって、われわれ日本人が海外にいっても、ほとんどの国で緊急電話がかけられるのに、なんと海外の人たちが日本を訪問し、同様に緊急電話をかけようとしても、日本ではこのサービスが利用できないのだという。
これはどうも総務省が設けている規制に問題があるようで、携帯電話事業者と個別の回線契約をしていない電話からは緊急電話ができないのだという。
もし、Apple Watchと一緒にiPhoneを持ち歩いていれば、iPhone経由で電話をかけられるのだが、Apple Watch単体の場合はできないらしい。2020年のオリンピックやパラリンピックを目当てに大勢が日本を訪れ、羽田空港の年間利用者も1億人になろうという中、この事態はなんとしても早急に解決してもらいたい。
いや、動いてもらいたいのは総務省だけではない。厚生労働省もそろそろ簡易心電図機能などに関する規制を緩めるべきタイミングではないだろうか。
Apple Watchの心臓の異常を検知するさまざまな機能や、Apple Heart Studyという、史上最大規模の40万人からのデータを利用して、スマートウォッチとして初めて心房細動を検知することが可能になった。AppleがApple Watchを使って向上させようとしている健康情報は心臓関係だけではない。
今回、新しいwatchOSから騒音の大きさを測って、聴力がダメージを受けるのを防ぐノイズ機能や、女性の周期記録を管理できる機能が加わった。これに従来の心臓関係の機能を加えて、ユーザーが参加の意思を示せば、これらのデータを収集して、関連の研究をしている機関にデーターを送信、将来のApple Watchで、予防医療に役立てるというApple Health Studyというプロジェクトを発表した。
聴覚に関する研究データは、WHOとミシガン大学、女性の周期記録のデータを元に不妊や骨粗しょう症を防ぐ研究を行うのはNIHとハーバード公衆衛生大学院、そして心臓関係の異常を早期に発見する研究ではAmerican Heart AssociationやBrigham Women's Hospitalと組むという。
もはや、Apple Watchは多くの人命を救った実績を持つ21世紀の健康ツールとして、目を見張る進化を続けているのに、医療制度存続の危機がささやかれる日本において、規制を変えずにそうした先進予防医療の恩恵を受けられないようにしている厚生労働省にはぜひとも考えを改めてもらいたい。
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