高市総務相「SIMロック解除は早急な検討が必要」――12年続く不毛な議論は早急に終わらせ、通信の未来を描く会議にすべき:石川温のスマホ業界新聞
総務省の「モバイル市場の競争環境に関する研究会」の第18回会合が行われた。ソフトバンクとau(KDDI・沖縄セルラー電話)の新しい購入プログラムを端緒として、急きょ「SIMロック」が議題となったが、12年間、一体何を議論してきたのだろうか……。
9月20日、iPhone11が発売され、NTTドコモが5Gプレサービスをローンチする中、総務省ではモバイル市場の競争環境に関する研究会(第18回)が開催された。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2019年9月21日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額500円・税別)の申し込みはこちらから。
テーマはSIMロック解除。冒頭、高市早苗総務相が「SIMロック解除は早急な検討が必要」と挨拶。総務省の有識者会議は12年間、何の進歩もせず、同じSIMロック解除の議論を続けている惨状に頭が痛くなってきた。
このタイミングでSIMロック解除が議論されているのは、当然のことながら、ソフトバンク「半額サポート+」ならびにKDDI「アップグレードプログラムDX」が、他社ユーザーが購入できるにも関わらず、100日間、SIMロックがかかっていることに由来する。
キャリアがSIMロックをかけたがるのは、契約後、不払いで持ち逃げされるリスクを避けたいというのがひとつの理由だ。KDDIは「過去の支払いに問題がない人でも未払いのリスクは存在する」といい、ソフトバンクも「SIMロックのある端末ですら、A社の人気機種では数年前ににかなりの額の盗難被害が出た。許容できるリスクではない」とした。
もちろん、これはアップル・iPhoneのことだろう。過去には、キャリアショップが強盗に襲われ、大量のiPhoneが盗まれた事件が何度もあったほどだ。
一方、「SIMロックなど不要だ。我々がその根拠を数字で証明してみせる」と息巻いたのが楽天だ。
楽天は「4年以上にわたり、SIMロックフリーで販売してきたが、不払い対策についても与信や債権管理で対応できる。SIMロックでの対策は不要だ」と言い切った。また、盗難も店舗のセキュリティを強化すれば回避できるとした。
ただ、楽天の主張には説得力が欠ける。なぜなら、楽天は新品のiPhoneを扱ったことがない。楽天のラインナップには、そもそも不払いや盗難をしてまでも持ち逃げし、転売したいと思えるスマホは皆無ではないか。iPhoneは、グローバルで流通するほどの商品力が高く、いまだになぜか、発売日には外国の転売目的の人たちが行列するほどの人気だ。
キャリアショップでSIMフリーのiPhoneを在庫しておけば、盗難のリスクはかなり高まるのではないか。
そうした不正契約や盗難のリスクを考えると、最低限のSIMロックは必要なのかも知れない。
アメリカ・ベライゾンでは購入後、60日間が経過したら自動的にSIMロックが解除される仕組みが取り入れられている。
今回の有識者会議では、「盗難のリスクを回避するというキャリアの都合にも関わらず、SIMロック解除をする際に手数料を請求するのはおかしい」という指摘があった。
60日もしくは100日経過後に自動でSIMロック解除、しかも無料というのが現実的な落とし所ではないか。100日から60日に短縮し、自動に外れるのであれば、拘束性も弱まるし、有識者や総務省のメンツも保てる。
いい加減、SIMロックの議論はこのあたりで終止符を打ち、もっと建設的で、明るい未来の通信市場を描く有識者会議にすべきだ。
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