自撮り被害を防ぐカメラの反響、トーンモバイルがフリービット傘下に戻った理由は? 石田社長に聞く:MVNOに聞く(2/3 ページ)
子どもの「自画撮り被害」を防止する機能を搭載したトーンモバイルの「TONE e20」は、そのキャッチーさもあって、大きな反響を呼んだ。好調のTONE e20だが、MVNOを取り巻く事業環境も大きく変化している。トーンモバイル自身も、2019年12月にCCCを離れ、フリービット傘下のDTIに移管されている。こうした変化は、トーンモバイルの事業にどういった影響を与えたのか。
子どものスマホ利用は赤信号に近い状況に
―― TONEカメラの利用率はどのぐらいなのでしょう。
石田氏 新規では8割ぐらいになっています。これは、TONE e20を新規に買っていただいた中での割合です。機能が分かりやすく、長めに放映していただけたNHKをはじめ、報道でかなり取り上げられたのが大きかったと思います。いろいろなところで自画撮り被害が出てきていたので、発表後の反響は過去最大でした。
―― TONEカメラの認識率ですが、これはどの程度なのでしょうか。
石田氏 こちら側のデータはありますが、どこまでを検知してほしいかは個々人で違います。例えば今は水着をOKにしていますが、もっと厳しくしてほしいという声もあります。そのパラメーターはもともといじれるようにしていのですが、いったん細かい機能は外すことにしました。今後、慣れた方に対しては、機能をアップデートしていこうと思っています。
最初にこの画像はOKかどうかを聞いて学習させることもできますが、そうすると設定が面倒になってしまう。子どものプライバシーを守るため、親にはサムネイルを送るようにしているので、毎回聞くのも難しい。動画の場合は、特にそうですね。
―― 緊急事態宣言や学校の一斉休校で、子どもが出歩かなくなりました。見守る必要がなくなり、売れ行きに影響が出たというようなことはありましたか。
石田氏 3月、4月はほとんど予算通りで行きましたが、緊急事態宣言後にカメラのキタムラの店舗がかなり閉まってしまいました。そのぶんWebに寄ってはいたのですが、5月頭はあまりよくなかったですね。ただ、子どもの利用実態を見ると、ほとんど赤信号に近い状況になっています。家庭内にいても、アプリの利用状況が分かるので、そのニーズは大きかったと思っています。親も仕事があるので、子どもを見られないですからね……。
―― 新型コロナウイルス対策としては、「あんしんレポート」の臨時版も出されました。
石田氏 Stay Homeといっても、子どもが外に出る場合もありますから、もう少し親御さんに見やすい形で情報を提供できないかと考えました。どこに行ったかを1週間分、分析して、ヒートマップという形で出すようにしましたが、親御さんからは好評でした。ウィズコロナの時代には、そういった情報のスコアリングも重要になってきます。僕も愛用していますが、これはすごくいい。安心安全ビジネスの1つの土台にもなるもので、得られたスコアリングを活用すれば、罹患(りかん)の可能性なども推測できるようになるのではないでしょうか。オープン化も含め、次の展開を考えていきます。
TONE SIM(for iPhone)はバージョンアップに向けて準備
―― 新端末を出された一方で、TONE SIM(for iPhone)のニーズも根強いと思います。ここは、今後どうされていくのでしょうか。
石田氏 最大のバージョンアップに向け、今動いているところです。ニーズはかなり大きいので、MDMの機能を独自で作り直すような形で動いています。TONE SIMに関しては、6月、7月ぐらいにわれわれの考える完成版に近いものになります。例えば、今はアプリごとの制限をβ版として出していますが、これが正式バージョンになり、注目の機能(TONEカメラのこと)もiPhoneでできるかもしれません。
―― 契約数は現状、どの程度になりましたか。
石田氏 freebit mobileを始めたときに、全体で100万ぐらいという言い方をしていました。現状、フリービットのMVNO事業全体では100万以上いますが、一部、ワンタイムのSIMカードも入っていて、統計をどう出すかが難しいところです。いつオープンにするかは、フリービット本体で考えていくことになりました。
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