「コスパ」と「5G」を武器に日本で台頭したOPPO その歩みと今後の戦略を読み解く:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
OPPOの5Gスマートフォンがauとソフトバンクから発売される。SIMフリー市場では、コストパフォーマンスに優れたRenoシリーズでシェア拡大を目指す。今後はスマートフォンの周辺機器も拡張して満足度向上に努める。そんなOPPOの日本での戦略を解説する。
オッポジャパンは、7月21日に記者会見を開催。販売中のSIMロックフリースマートフォン「Reno3 A」に加え、auから7月22日に発売された「Find X2 Pro」や、ソフトバンクが7月31日に発売する「Reno3 5G」を改めてアピールした。勢いに乗ったOPPOは、テレビCMの放映も開始。「Reno A」のときに話題を集めた指原莉乃さんに加え、タレントの木梨憲武さんを起用し、同社の端末をアピールする。
スマートフォン専業メーカーとしてスタートしたOPPOだが、19年末に中国・深センで開催されたイベントでは、周辺機器にエコシステムを拡大することを発表していた。その第1弾となるスマートウォッチの「OPPO Watch」や、ワイヤレスイヤフォンの「Enco(アンコー)」シリーズも日本市場に導入する。エコシステムの拡大で目指すのは、ユーザー満足度の向上だ。こうした発表から、同社の日本市場における戦略を読み解いていきたい。
日本市場にフィットした端末を研究、おサイフケータイ対応で一躍メジャーに
SamsungやHuawei、Appleに次ぐ世界シェア第4位のメーカーとして、鳴り物入りで2018年に日本市場へと参入したOPPO。現時点ではXiaomiのリードを許し、シェアは5位に落ちている一方で、依然として成長を維持しているメーカーの1社だ。日本には参入第1弾としてSIMロックフリースマートフォンの「R11s」を投入。明るさによってカメラを使い分ける独特なデュアルカメラの仕組みが、話題を集めた。
一方で、R11sを投入した際には、取り扱うMVNOがないなど、まだ販路が狭く、新規参入ということもあって知名度は低かった。5万7980円(税別)という価格はSIMロックフリースマートフォンのボリュームゾーンを大きく超えていたため、手に取るユーザーは限定的だった。そんなOPPOだが、当初から日本市場にフィットさせた端末を投入することは示唆していた。
オッポジャパンで代表取締役社長を務めるトウ・ウシン氏は、参入直後に行われた筆者のインタビューに答える形で、おサイフケータイや防水に対応した端末を投入する意向を明かしている。その成果として投入されたのが、おサイフケータイ対応の「R15 Pro」だ。海外メーカーが参入から約半年で、しかもSIMロックフリースマートフォンとしておサイフケータイ対応端末を発表できた衝撃は大きく、OPPOの日本市場に懸ける意気込みがうかがえた。
とはいえ、R15 ProもSIMロックフリースマートフォンとしては少々高めの6万9800円(税別)で、SIMフリー市場では異質の存在だった。OPPOの強みでもあるコストパフォーマンスが、あまり生かされていない印象も受けた。ここで得た開発ノウハウを生かしながら、日本専用モデルとして生み出されたのが、2019年10月に発売された「Reno A」だ。同モデルは税込みで3万9380円を実現。おサイフケータイや防水に対応しているのはもちろん、同クラスの端末より一段上のプロセッサであるSnapdragon 710を採用したことで、高い評価を得ている。
6月25日には、その後継機にあたる「Reno3 A」を発売。反響も大きく、オッポジャパンで取締役を務める河野謙三氏も「大変好調」と自信をのぞかせた。Reno3 Aでは、さらに販路を広げ、2大サブブランドともいえるY!mobileやUQ mobileも取り扱いを開始。Reno Aに続き、楽天モバイルも同モデルを採用した。
河野氏は、参入当時を振り返りながら「日本のお客さまがどういったものを本当に必要としているのか、さまざまな意見があり、真のニーズを捉えるのが難しかった。オッポジャパンとして、日本市場の中で試行錯誤しながらビジネスを展開してきた」(同)と語る。こうしたトライ&エラーを繰り返しながら、Reno AやReno3 Aの投入に結び付き、結果も出てきた。SIMフリー市場でもシェアは徐々に上がり、2019年度は第5位(MM総研調べ)。BCNの単月調査では、シャープと2位を争う状態になりつつある。
関連記事
キャリア市場とSIMフリー市場で目標達成のOPPO 今後は“満足度100%”を目指す
オッポジャパンが7月21日に新製品発表会を開催。発表済みのスマートフォンや、新たに投入する周辺機器を紹介した。同社は「キャリアでの5G端末販売開始」と「SIMフリー市場での支持獲得」という2つの目標を達成。今後の戦略について河野謙三取締役が語った。スマートウォッチ「OPPO Watch」とワイヤレスイヤフォン「OPPO Enco W51/W11」が日本上陸
オッポジャパンが7月21日、スマートウォッチ「OPPO Watch」とワイヤレスイヤフォン「OPPO Enco W51」「OPPO Enco W11」を発表した。OPPO Watchは8月7日15時に予約を開始し、8月下旬に発売する。価格(税込み)は2万5800円。OPPO Enco W51とOPPO Enco W11は8月上旬に発売する。価格はW51が1万5800円、W11が5800円。auの5Gフラグシップ機「OPPO Find X2 Pro」の実力は? カメラやパフォーマンスを検証
auが始めて取り扱うOPPOのスマートフォン「Find X2 Pro」が7月以降に発売される。「Find X」のように目を引くギミックがあるわけではないが、カメラ性能がセールスポイントだ。試作機をOPPOから借りて使うことができたので、ファーストインプレッションをお届けしたい。ソフトバンクの「OPPO Reno3 5G」が7月31日発売 直営店価格は6万8400円(税込み)
ソフトバンクが手頃な価格な5Gスマホとして採用した「OPPO Reno3 5G」の発売日が決まった。税込み価格は7万円弱と、他機種よりも手頃な価格となっている。「OPPO Reno3 A」レビュー パフォーマンスは先代よりダウンしたが、コスパの高さは健在
オッポジャパンが6月25日に発売する「OPPO Reno3 A」は、コストパフォーマンスの高さから高い人気を集めた「OPPO Reno A」の後継機にあたる。おサイフケータイや防水・防塵(じん)にも対応。価格は税込みで3万9800円で、Reno Aとほぼ同じ水準だ。カメラがクアッドカメラになった一方で、プロセッサはReno Aよりも低スペックの「Snapdragon 665」を採用している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.