Y!mobileとUQ mobileの「20GBプラン」が担う役割 メインブランドとの差別化が課題か:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
KDDIとソフトバンクがサブブランドの20GBプランを発表した。実は20GBプランへの対応の仕方は2社で異なる。サブブランドの役割や新料金プランの狙いをあらためて解説する。
10月28日に、KDDIとソフトバンクが、それぞれサブブランドの20GBプランを発表した。KDDIはUQ mobileの「スマホプランV」、ソフトバンクはY!mobileの「シンプル20」で、どちらも容量は20GB。金額は前者が月額3980円(税別、以下同)なのに対し、後者は月額4480円と差が出た。UQ mobileは2021年2月以降に、Y!mobileは12月下旬以降にそれぞれ新プランを導入する予定だ。
20GBプランは、政府の要請に応えたプランという色合いが強い。菅義偉総理大臣の値下げ発言以降、総務省の内外価格差調査で高止まりが指摘されていた20GBプランが焦点になっていた。各社とも、メインブランドとサブブランドのどちらにも20GBの容量を設定したプランがなかったため、サブブランド向けとして新設した格好だ。諸外国との比較でも割安な金額に抑えられている。
一方で、メインブランドからの移行が進めば、業績に与える影響は大きい。ここでは、そんな20GBプランの中身や、各社が投入した狙いを解説していきたい。
既存プランの上に20GBプランを新設したUQ、20GBプランは別建てのY!mobile
政府の要望に応え、最初に動いたのはUQ mobileとY!mobileだった。KDDIは、UQ mobileの20GBプランであるスマホプランVを発表。ほぼ同時に、ソフトバンクもY!mobileの20GBプランにあたるシンプル20をリリースしている。一見、同じ20GBプランに見えるが、金額やオプションに違いがある。既存のプランとの位置付けも、両社で異なっている。
まず、UQ mobileは既存の「スマホプランS」「スマホプランR」の上に、スマホプランVを新設した格好だ。料金は20GBで3980円。スマホプランS、スマホプランR、スマホプランVは、それぞれ1000円刻み。KDDIの高橋誠社長も「並べてみると、分かりやすい料金に仕上がったのではないか」と自信をのぞかせる。もともと、UQ mobileは楽天モバイル対抗のスマホプランRを導入した際に、料金プランを2本立てにしていた。スマホプランVを加えることで、改めて“松竹梅”の3本立てになる格好だ。
既存プランの上位プランと位置付けられたこともあり、オプションや割引の適用条件も同じだ。UQ mobileは、通話定額をオプションにしているが、月60分までの無料通話を付けると500円、10分間の通話定額を付けると700円、通話し放題の完全通話定額を付けると1700円、それぞれ別途料金がかかる。逆に、家族で契約すると料金が2回線目から500円割り引かれる「UQ家族割」も適用対象になる。この場合、最低料金は3480円まで下がる。
対するY!mobileは、シンプル20という名称から分かる通り、3本立てになっている既存のプランとは別扱いの、特別なプランを新設した形になる。シンプル20の料金は4480円で、ここには10分間の音声定額も含まれる。この点はY!mobileの他の料金と同じだ。シンプルとうたっている理由は、その他の割引が一切ないからだ。通常のY!mobileのプランには、新規契約時に6カ月間適用される「新規割」や、家族で契約したいときに2回線目から受けられる「家族割引サービス」、光回線のセット割である「おうち割 光セット」が適用されるが、シンプル20はこれらの対象外だ。
料金的にはUQ mobileより500円高いが、10分の通話定額を付けた条件で比較すると、Y!mobileの方が200円安くなる。既存のプランと同条件にして、割引も対象にした上で通話定額がない選択肢も選べるUQ mobileと、既存のプランとは別建てにしてシンプルさを追求したY!mobile。一見同じようなプランに見えるが、実は20GBプランへの対応の仕方は大きく異なっているといえそうだ。
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