政府の値下げ要請 ドコモが応えるのは12月以降?
KDDIとソフトバンクが立て続けに「サブブランド」の新料金プランを発表した。総務省(政府)の方針を受けた動きだが、サブブランドを持たないドコモはどのように対応するのだろうか。第2四半期の決算説明会での質疑応答の様子を見てみよう。
NTTドコモは10月29日、2020年度第2四半期決算を発表した。決算発表に合わせて「子育てサポート割引」の新設や「ハーティー割引」の見直しも発表された。
一方で、総務省の「アクション・プラン」に合わせるかのようにKDDIとソフトバンクが打ち出した「20GBで5000円を切る料金プラン」は提示されなかった。
ドコモが両社への対抗策を打ち出さなかったのはなぜなのか。同日に行われた報道関係者向けの決算説明会における、記者と吉澤和弘社長とのやりとりに、そのヒントがある。
一番の原因はNTT(親会社)によるTOB
KDDIと沖縄セルラー電話は「UQ mobile」、ソフトバンク(とウィルコム沖縄)は「Y!mobile」の各ブランドで新料金を打ち出した。両ブランドは「サブブランド」と呼ばれており、「au」や「ソフトバンク(SoftBank)」といった「メインブランド」よりも割安な料金を特徴としている。
一方で、ドコモはサブブランドを持たない。強いていえば兄弟会社であるNTTコミュニケーションズが運営するMVNOサービス「OCN モバイル ONE」がそれに該当するかもしれない。しかし、ドコモは電気通信事業法に定める「禁止行為規制」の対象であり、NTTコミュニケーションズはドコモの特定関係法人に該当するため連携は難しい。
総務省(政府)の方針にドコモはどうやって応えるのか――質疑応答のやりとりを見てみよう。
―― KDDIとソフトバンクが(サブブランドで)20GBプランを発表しました。そのことに対する受け止めと対応策をお聞かせください。
吉澤社長 KDDIはUQ mobile、ソフトバンクはY!mobileのブランドで20GBプランを発表したことは承知しています。
私たちは政府からの値下げの要請について、特に大容量プランにおける海外との価格差比較や平均料金差を問題視しているのだと認識しています。恐らく、両社の(新しい)料金プランはそれに応えたものだと思います。
私たちもそれに対抗しないといけないわけですが、具体的に「どういうふうに」「どのくらい」「いつから」ということについては、さまざまな選択肢の中から継続的に検討するというのが現状のスタンスです。
もう少しいえば、現在(親会社であるNTTが)TOB(株式公開買い付け)を行っている期間中ということもあって、(料金面での)新たな戦略を打ち出せないので、このような回答とさせていただければと思います。(筆者注:TOBの進行に影響が出る施策は取れないという判断であると思われる)―― 先ほどの質問とも関連しますが、KDDIもソフトバンクも格安ブランドの方で新プランを設ける形で対応しています。御社自身が「サブブランド」を作るお考えはあるのでしょうか。
吉澤社長 先ほども言った通り、大容量プラン(の料金)については、さまざまな選択肢から対抗策を考えていきます。サブブランドを作るのか、メイン(ドコモ)ブランドで対応するのか、他の選択肢を取るのかなど、決まっていることはありません。
ドコモとしては、「20GBで5000円を切る料金プラン」について対応は検討しているものの、少なくともNTT(日本電信電話)によるTOB(株式公開買い付け)が終了しないと身動きが取れない状況にあるようだ。
このTOBは11月16日まで行われる。少なくともその終了日以降にならないとドコモの「対応策」は明らかにならない。早くても、12月になると思われる。
関連記事
- 22歳まで毎月最大1000円引きの「ドコモのロング学割」提供開始 「ハーティー割引」は内容を見直し
NTTドコモが新たな学割プログラムの提供を開始。2021年5月31日までに新規契約、または機種(契約)変更した22歳以下のユーザーは、22歳の誕生日を迎えるまで月額料金が毎月最大1000円引きとなる。障がい者を支援する「ハーティ割引」の改訂も行う。 - ドコモが「子育てサポート割引」を12月9日から提供 1人親世帯などの通信料金を最大で1700円引き
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた社会や経済情勢の変化を受けて、NTTドコモが新たな割引プログラムの提供を開始。児童扶養手当の受給を受けている人を対象に、通信料金を最大で1700円引きとする。 - UQ mobileの新プラン「スマホプランV」が2021年2月以降に登場 月間20GBで3980円
KDDIと沖縄セルラー電話の「UQ mobile」ブランドのスマホプランに、月間20GBで3980円の新しいプランが追加される。菅義偉内閣が打ち出した「携帯電話料金の値下げ」を受けた動きであると思われる。 - 「利用者理解」「多様なサービス」「MNPの簡素化」が柱――総務省が「アクション・プラン」を策定 公正競争環境の整備を進める方針
総務省が「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」を公表。今後の携帯電話市場における“公正な”競争環境を整備すべく取る行動を具体的にまとめている。柱は「利用者理解」「多様なサービス」「MNPの簡素化」だ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.