Y!mobileとUQ mobileの「20GBプラン」が担う役割 メインブランドとの差別化が課題か:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
KDDIとソフトバンクがサブブランドの20GBプランを発表した。実は20GBプランへの対応の仕方は2社で異なる。サブブランドの役割や新料金プランの狙いをあらためて解説する。
“解約抑止”と“新規獲得”――2つの役割を担うサブブランド
KDDI、ソフトバンクともに、メインブランドではデータ容量無制限のプランや、大容量プランをプッシュしている。5Gに対応しているのもメインブランドのみ。高速なデータ通信を、思う存分使えるというのがメインブランドの位置付けだ。4Gで中容量の料金プランを選ぶユーザーの受け皿はサブブランドが担っている。料金水準的にもリーズナブルな20GBプランは、サブブランドで投入するのが適していると判断したようだ。
一方で、メインブランドからサブブランドへの移行が加速すれば、収益性が低下するリスクがある。容量無制限や使い放題までは必要ないが、それなりのデータ容量は必要というユーザーが、割安なサブブランドの20GBプランに変更するケースがそれだ。高橋氏も「リスクという言葉は適切ではないが、料金コンシャスなお客さまがUQ mobileに移られることは、一定程度あると思う」と語る。実際、過去には、ソフトバンクからY!mobileへの移行が起り、APUR(1ユーザーあたりの平均利用額)が低下したこともあった。20GBは比較的大容量なため、以前より、移行のハードルは低くなるかもしれない。
それにも関わらず、2社がサブブランドに力を入れるのは“解約抑止”と“新規獲得”という2つの目的がある。料金を理由に、メインブランドから流出するユーザーをサブブランドで受け止めることができれば、契約者数はプラスマイナス0になる。料金水準が安い分、収益的にはマイナスなるものの、0になってしまうことは防げる。サブブランドが魅力的なら、他社のメインブランドからユーザーを獲得する武器にもなる。ユーザー数が増えれば、結果として収益にも貢献する。
サブブランドで新規に獲得したユーザーの一部がメインブランドに契約を変更すれば、その効果はさらに大きくなる。KDDIの高橋氏は、「auの5Gのよさをお伝えできれば、またアップセルしてもらえる。こういう循環を作れればいい」と語る。実際、KDDIではUQ mobileからauに契約を変更するユーザーが増えており、「効果を見ていると、昨年(2019年)10月に比べ、今年(2020年)の10月は3.5倍のアップセルを実現できている」(同)という。
ソフトバンクも、当初はメインブランドのソフトバンクからサブブランドのY!mobileへの流出が続き、ARPUは低下してしまったが、徐々にサブブランドからメインブランドへ切り替えるユーザーが増加。2019年5月に開催された決算説明会では、2018年度に、初めてその比率が逆転し、ソフトバンクへの“転入超過”になったことが明かされた。こうしたユーザーを増やすには、サブブランドの20GBプランと、メインブランドのプランにどの程度の差があるのかをしっかり伝えていく必要がある。
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