5Gへの移行を加速させるドコモ エリア拡充で強みあり、普及モデルも強化:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
NTTドコモは、5Gへの移行を加速させていく。鍵となるのが、ミドルレンジモデルの拡充とエリアやスループットの拡大だ。11月5日に開催された発表会では、冬春モデルのラインアップと同時に、新周波数帯を活用した「瞬速5G」をアピールした。
5Gの体験を拡張するレンタルサービスの「kikito」
ただ、高速・大容量や低遅延、多端末接続といった5Gの特徴は、スマートフォンだけでは生かしきれない。「5G時代には、スマートフォン以外のデバイスによって、楽しみの幅が広がる」(吉澤氏)というわけだ。一方で、「そういったデバイスは知られていなかったり、設定が難しかったりと、まだまだハードルがある」(同)のも事実。未知のデバイスに、いきなり数万円から数十万円の投資をできるユーザーは、かなり限定されてしまう。
そこでドコモは、周辺機器のレンタルサービス「kikito」を開始する。kikitoでは、スマートフォンと連携できる一眼カメラやアクションカメラ、プロジェクター、VR用ヘッドマウントディスプレイ、家庭用ロボットなどを用意しており、1日単位の短期レンタルと、30日単位の長期レンタルを選択可能。試用して気に入った場合は、レンタル品を買い取ることもできる。
残念ながら、現時点ではモデムを内蔵して直接5Gに接続できるデバイスは存在しないが、カメラのようなデバイスも、単体で機能するものではなく、何らかの形でスマートフォンとの連携ができるものに限定。カメラであれば画質、プロジェクターであれば映像といった形で、スマートフォンの体験を拡張するデバイスを選定したという。
サービス開始が2021年3月とまだ先のため料金は未定だが、デバイスごとの販売価格に応じた金額が設定される形になる。「旅行やイベントの間だけ、次々に登場する最新デバイスを気軽に利用できるようになる」(担当者)のは魅力的で、周辺機器を体験するまでのハードルを下げることができる。一方で、5Gの体験の拡張という観点では、単なる周辺機器のレンタルで終わってしまってはドコモ自身で提供する意味が薄くなる。5Gのエリアがある程度広がった段階で、スマートフォンを介さず、5Gに直接接続できるデバイスを用意していく必要もありそうだ。
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