シンプルなKDDI新料金プラン povoの“トッピング”は減収影響をカバーできる可能性も:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
ドコモの「ahamo」やソフトバンクの「SoftBank on LINE」に対抗する、KDDIの新料金プランが発表された。「povo」が他社より500円安いのは、5分間の音声通話定額を「トッピング」と呼ばれるオプションにしたため。ファストフード感覚で、サービスを自由に追加できる点を差別化のポイントにした格好だ。
使い放題のデータMAXやUQ mobileも料金改定、料金で攻め返すKDDI
povoに注目が集まりがちなKDDIの新料金だが、既存の料金プランも大幅に手を入れてきた。まず、auの「データMAX」は、3月に「使い放題MAX 5G/4G」に改定。料金は他社のデータ容量無制限プランとほぼ同じで、正価が6580円だ。家族3人で契約すると、また固定回線のセット割である「auスマートバリュー」が適用されると、それぞれ1000円が割り引かれ、支払いをau PAYカードに設定すると100円が割り引かれる。全ての割引を適用すると、料金は4480円まで下がる。
金額はドコモの「5Gギガホ プレミア」より70円安いが、ほぼ同水準と言っていいだろう。ソフトバンクの「メリハリ無制限」とは同額。条件は少々異なるが、割引を全て適用した際の価格は、3社とも4480円で同額だ。KDDIはNetflixやAmazonプライムなど、各種コンテンツサービスをバンドルした料金プランを用意しているが、こうした派生プランも改定する予定だ。「データMAXプランをこのようにシンプルにしたので、セット料金も見直す必要があると思っている。3月までに皆さんにお届けできるよう、準備を進めている」(高橋氏)という。
高橋氏が「一歩踏み込んだ」というのが、UQ mobileの料金プランだ。2月から、容量別にS/M/Lの3つに分かれた「くりこしプラン」を導入。その名の通り、余ったデータ容量を翌月に繰り越せる上に、それぞれの料金を競合のY!mobileより引き下げている。3GBの「くりこしプランS」に至っては1480円で、MVNOと同水準の安さだ。「くりこしプランM」は15GBで2480円、「くりこしプランL」は25GBで3480円と、こちらもUQ mobileと競合するY!mobileの新料金プランより割安で、しかもデータ容量がそれぞれ5GBほど多い。
povoはオンライン専用だが、オンラインでの手続きに不安があるユーザーが店頭に来た際には、UQ mobileを勧めやすい。くりこしプランMとpovoは同額のため、ショップでのサポートの有無でどちらのプランを選ぶかを決めることができる。2つのプランでデータ容量には5GBの差分があるが、これがショップのサポートコストといえそうだ。
au、UQ mobile、そしてpovoに通底しているのは、料金プランのシンプルさだ。12月に発表したAmazonプライムとのバンドルプランは、割引条件の複雑さやタイミングの悪さから大不評を買ってしまったが、その反省を生かし、シンプルで分かりやすくなるよう細心の注意を払ったようだ。割引前の“素の料金”をきちんと打ち出すようになった点は、歓迎したいポイントといえる。価格的なインパクトも大きく、ユーザーからの支持を集めそうだ。
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