auの新料金プランはなぜ炎上したのか? 料金は他社と同水準も、不誠実な打ち出し方が問題:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
auの新料金プラン「データMAX 5G with Amazonプライム」は、データMAX 5Gとそれぞれのサービスを個別に契約するより、わずかながらお得になる。しかしネットには失望の声も広がり、いわば炎上状態になってしまった。Twitterでは「au解約」や「さよならau」がトレンド入り。新料金の特徴とともに、その理由を読み解いていきたい。
KDDIは、au向けの新料金プラン「データMAX 5G with Amazonプライム」を発表した。その名の通り、容量無制限の「データMAX 5G」に、AmazonのAmazonプライムがついてくるプランだ。Amazonプライムだけでなく、KDDIとテレビ朝日が共同で運営する「TELASA」もセット化。料金は9350円(税別、以下同)。月のデータ通信量が2GB以下の場合、自動的に1500円割り引かれるのも、従来のデータMAX 5Gと同じだ。
また、12月11日からは、Amazonプライムを既存のパックプランにも付ける。NetflixとTELASAがセットになった「データMAX 5G Netflixパック(P)」は、料金据え置きで9650円。Apple MusicやNetflix、YouTube Premiumがセットになった「データMAX 5G ALL STARパック(P)」は、1万1150円で提供される。KDDIは、料金プランとコンテンツサービスのバンドル化を推進しているが、ここにAmazonプライムが加わった格好だ。
料金を分解していくと、データMAX 5Gとそれぞれのサービスを個別に契約するより、わずかながらお得になる。ワンストップで料金を支払えるのも、メリットの1つ。いわばセット割引の王道をいくプランだ。一方で、ネットには失望の声も広がり、いわば炎上状態になってしまった。Twitterでは「au解約」や「さよならau」がトレンド入り。割引前提の価格を前面に打ち出したことへの不満も噴出した。新料金の特徴とともに、炎上の理由を読み解いていきたい。
バンドルプランを強化するKDDI、新たに加わるのはAmazonプライム
データMAX 5Gは、条件付きながら、データ通信の容量が無制限になるプラン。KDDIはここに、さまざまなコンテンツサービスをセットにして、バンドルプランを拡充している。代表格が、Netflixパックだ。KDDIの代表取締役執行役員副社長、東海林崇氏も、同料金プランの満足度が通常のデータMAX 5Gなどより高いことに自信をのぞかせた。データMAX 5Gと各サービスを個別に契約するより、料金は安くなる。with Amazonプライムでも、その仕組みは踏襲した。
料金は9350円。2年契約を適用すると、170円安い9180円になる。家族割プラスの対象で、2人契約で500円、3人で1000円、4人で2020円の割引を受けられる。auスマートバリューで1000円の割引だ。ここまでの割引をフルに適用すると、料金は6160円まで下がる。期間限定のキャンペーンも対象になる。新規契約や機種変更すると、「スマホ応援割III」が適用され、翌月から6カ月間1400円の割引を受けられる。さらに、翌月から1年間、「5Gスタート割」で5G対応分の差額である1000円も割引対象になる。
単品のデータMAX 5Gは、料金が8650円。with Amazonプライムとの差額は700円だ。Amazonプライムは、月単位での支払いの場合は500円(ただしこちらは税込み)。年間プランだと4900円で、1カ月あたり400円強の料金がかかる。一見すると、個別に契約した方が安いようにも見えるが、with AmazonプライムにはTELASAの契約も含まれる。こちらの料金は562円。セットで契約すると、200円強安くなる計算だ。
AmazonプライムとTELASAの合わせ技で安くなっている点をどう評価するかにもよるが、データMAX 5Gとこれらのサービスを個別に契約しているユーザーなら、with Amazonプライムを選択した方がいい。また、データMAX 5Gは容量無制限だが、テザリングやデータシェア、世界データ定額は30GBまでに制限されている。対するwith Amazonプライムは、この制限が60GB。テザリングやデータシェアでの通信が多いユーザーにも向いたプランといえる。
ただ、TELASAが不要の場合、かえって高くなってしまう上に、2つのサービスが必要でも差額は小さい。どちらかといえば、with Amazonプライムよりも、NetflixパックやALL STARパックにAmazonプライムがついてくることの方がお得感は高そうだ。どちらも料金は据え置きになっているため、Amazonプライムが事実上無料になる。Amazonプライムを料金プランにバンドルする動きはドコモの方が早く、ギガホやギガライトで利用料が無料になるが、あちらは1年限定。バンドルプラン限定ながら、恒久的に無料になる点ではauの方が魅力的だ。
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