ahamo対抗プランをいち早く打ち出した日本通信 なぜここまでの値下げが可能なのか?:MVNOに聞く(1/4 ページ)
NTTドコモがahamoを発表した翌日に、対抗策の「合理的20GBプラン」を打ち出した日本通信。現時点でのデータ容量は16GBだが、ahamoの導入に合わせて20GBに増量する予定だ。大手3キャリアが大幅な値下げに踏み切る中、日本通信がいち早く対抗策を打ち出せたのはなぜか。
料金はahamoより1000円安い1980円(税別、以下同)で、16GBのデータ容量に月間70分までの音声通話がつく。日本通信は、ドコモとの交渉に総務大臣裁定が下ったことを受け、20年7月に「合理的かけほプラン」を投入していた。こちらの料金は2480円。音声通話は無制限の定額だが、データ容量は3GBと少な目だった。合理的かけほプランとの比較で見ると、合理的20GBプランはデータ容量を大幅に増やしつつ、料金そのものを引き下げたように見える。
大手3キャリアが大幅な値下げに踏み切る中、日本通信がいち早く対抗策を打ち出せたのはなぜか。同社の代表取締役社長の福田尚久氏が、その理由を語った。
もともと20GBで2980円の料金プランを発表する予定だった
―― ahamo対抗を打ち出したのが、あまりに早くて驚きました。
福田氏 早かったというか、実はもともとあの日に、20GBで2980円の料金プランを発表する予定でした(笑)。たまたまプレスリリースとWebは作ってあったんです。出す準備をしていたとき、ドコモの発表の前日に2980円で来るという報道がありました。最初の報道では音声通話がどこまで入っているのかが書いてなかったので、au(のpovo)のように、音声通話は基本だけになるのか、ある程度入れてくるのかが分かりませんでした。
その後、夕方ぐらいの報道では、5分という話があった。実質それが発表内容と同じでしたが、それを受け、急きょ20GBで2980円のプランはやめて、やり直すことにしました。もともと発表する予定でやっていたので、それを慌てて作り直したわけですね。ですから、早かったのはたまたまなんです(笑)。
―― 即座に考えたのかと思っていました。ただ、当初の予定から金額は1000円下がっています。
福田氏 金額を下げたのと、20GBではなく、16GBで1980円にしました。ただし、これは来春から20GBに上がります。接続料は4月1日から下がります。将来原価方式で20%程度下がることは出ているので、ちょうどいいと思い、16GBという数字にしました。4月からではなく、3月からと言っているのは、ahamoに合わせたからです。
―― 微修正だったから、スムーズにいけたということですね。
福田氏 書く内容は決まっていましたからね。最後の料金部分をチャッチャと変えて、「今だけ16GB」という文言は後から加えました。
―― あれは、最初からああいうデザインだったのではなく、本当に後付けでああなったんですね(笑)。
福田氏 そうそう(笑)。ahamoの発表を受けて、あの部分を付け加えました。
3キャリアのオンライン専用プランは非常に注目している
―― 以前、福田さんは代理店があるからどうしても携帯電話の料金は高くなるというお話をされていたことがあったかと思います。一方で、ahamoをはじめとした各社のオンライン専用プランは、その部分でコストカットをしているように見受けられます。
福田氏 非常に注目していることがあります。近くのドコモショップを見ていると、「ahamo事前相談会」というポスターが貼ってある。あれは、代理店がドコモに請求することになるんじゃないでしょうか。そのときに、ドコモがどう対応するかがキーになると思っています。
僕もパソコンの販売をやり、Apple Storeのオンラインを立ち上げた経験があります。当時は100%間接販売だったので、オンラインで直接やるというのはすごく大変でした。そのときにどうやったかというと、「MACWORLD Expo/Tokyo」に合わせて、スティーブ(・ジョブス前CEO)に発表してもらいました。そこから、当時の営業が一斉に販売店に走った。「日本としては反対だが、スティーブの意向で」ということにしましたが、それでも相当モメました。
同じように、ahamoが一気に売れたら、その分ショップでの契約数は減ってしまいます。減ったときに、放っておくかというとそうではないと思います。そんな単純には収まらないのではないでしょうか。発表会でも、ドコモの井伊社長は「まったく対応しないわけにはいかない」という趣旨のことをお話ししていたと聞いています。完全カットにならないと、料金が安いから手数料が低いというロジックがなかなか通らなくなります。
3社ともオンラインでとやっていますが、販売店とのあつれきも大きくなる。販売店とのビジネスモデルを作ってきた経験を踏まえ、今後どうなっていくのかに注目しています。
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