3万円台だがハイエンドの風格 Xiaomi「Redmi Note 10 Pro」投入のインパクト:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
Xiaomiは、2021年の日本市場でのテーマを“再定義”に定めている。新たに投入する「Redmi Note 10 Pro」は3万4800円(税込み)ながら、1億800万画素カメラやSnapdragon 732Gを搭載。従来のミドルレンジモデルを基準に見ると、カメラ、ディスプレイ、デザインやパフォーマンスも含めた体験が大きく変わっているという。
日本市場での存在感も徐々に高まる、ハイエンドモデルの投入はあるか
参入から1年強ということもあり、日本でのXiaomiのシェアはまだまだ小さい。例えば、IDC Japanが2月に発表した2020年通期のメーカー別シェアは、1位がApple、2位がシャープ、3位が富士通、4位がSamsung、5位が京セラで、Xiaomiは16.0%のその他に含まれている。第4四半期単体で見ても結果は同じだ。一方で、BCNランキングの3月15日から21日の実売データで、Redmi 9Tが首位を取っているように、その高いコストパフォーマンスは評価されつつある。
その評判を受け、販路も徐々に広がっている。先に挙げたKDDIやソフトバンクが販売するキャリアモデルはその一例だが、Redmi Note 10 Proも、大手家電量販店に加え、イオンモバイルやIIJmio、goo Simseller(OCN モバイル ONE)、BIGLOBEモバイルといった大手MVNOが取り扱いを表明している。Huaweiが米国の制裁でGMS対応Androidを投入できず、かつて高いシェアを誇っていたASUSもミドルレンジモデルの開発を中止してしまった中、OPPOに続いて、急速に存在感を増している1社といえそうだ。
ただし、日本ではまだミドルレンジモデルやエントリーモデルが中心で、Xiaomiの技術力をアピールできるハイエンドモデルの投入には至っていない。グローバルでは、同社初のフォルダブルスマートフォン「Mi MIX Fold」や、Snapdragon 888を採用した「Mi 11」とそのバリエーションモデルなど、多彩なハイエンドモデルを発表したばかりだが、いずれも日本での展開は未定。日本上陸時にはMi Note 10シリーズを投入したが、それ以降はミドルレンジモデルに軸足を移している。
ワン氏が「フラグシップモデルは導入したいと思っている」と語っていたように、Xiaomiにも、その意思はあるようだ。一方で、「フラグシップモデルは技術や、サービスなど、技術以外の要素への投資が必要になり、ミドルレンジモデルやローエンドモデルと比べると、参入に時間がかかる」(同)という。単に端末を販売するだけでなく、周辺のサービスも含めて投入しようとしていることがうかがえる。
特に日本では、2019年10月の電気通信事業法改正以降、ハイエンドモデルの販売に急ブレーキがかかっている。市場環境を踏まえると、日本市場に参入して2年目のXiaomiが慎重になるのは必然ともいえる。ただ、Xiaomiは最新の技術を取り入れるのが早く、技術力も高い。ハイエンドモデルはブランドイメージを作りやすいだけに、シェアをさらに伸ばすためには、投入する必要性がありそうだ。ワン氏は「多くの消費者が必要とし、楽しめる。そういったデバイスを用意したい」と語っていたが、そのときが来ることを期待したい。
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