新型コロナの影響でBluetooth市場は鈍化 その中でも成長した分野は?(2/2 ページ)
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、Bluetoothデバイスの年間出荷台数は伸び悩んでいるが、堅調な成長を続けている。特にウェアラブルやスマートホーム分野は非常に好調だという。オーディオ分野ではBluetoothヘッドフォンが成長をけん引している。
コロナ禍でも伸びたウェアラブルやPC周辺機器
データ転送領域のウェアラブルデバイスやPC周辺機器は、2019年から2020年にかけても成長が見られた領域だ。健康意識の高まりから、ウェアラブルデバイスや医療機器の売り上げがコロナ禍以前に出していた予測を上回る結果となった。
リモートワークによって、自宅の仕事環境を整えることが必要となり、キーボードやマウスといったBluetoothを使ったPC周辺機器の売り上げも増えた。セイビン氏によると、Bluetoothは何でもつなげるということで、IoTデバイスでも特に利用されている技術だという。2021年には130億台のBluetooth IoTデバイスが使われるようになるとしている。
今後、データ転送領域の出荷台数を増やしていくものの1つはウェアラブルだ。2025年には年間出荷台数が4億台に達すると見込んでいる。それ以外でも、ゲーム用や産業用のVR、スマートグラスの領域が大きく成長しており、2025年までに17倍の成長が見込まれている。「まだ母数は少ないが、顕著な成長を見せている領域」(セイビン氏)だという。
位置情報サービス分野については、コロナ禍で外出できず、機材を据え付けることができなかったため、2020年の成長は鈍化した。実装数は予測を25%も下回ったという。しかし、資産追跡やソーシャルディスタンスの確保、在席率の管理などに位置情報ソリューションが有用であるという認識が深まっているため、今後は伸びていくことが予想されるという。
現在、最もBluetoothの位置情報サービスを導入しているのは小売業界で、導入されるものの4分の3以上が屋内ナビゲーションだという。今後も資産追跡や屋内測位システムのソリューションは成長を維持。2025年までに資産追跡ソリューションは51万6000件の導入、屋内測位サービスの導入件数は今後5年間で2倍の成長が見込まれている。
コロナ禍によってヘルスケアという新たな領域も加わった。医療分野でBluetoothの位置情報サービス導入件数が2025年までに5倍に成長すると予想されている。
スマートホームやスマート家電への関心が高まっている
最も出荷台数が多いのはオーディオストリーミング領域だが、最も早い成長を遂げている分野がデバイスネットワーク領域だという。2020年はコロナ禍によって導入件数が鈍化したが、自宅で過ごす時間が増えたことによって、スマートホームやスマート家電、スマート照明といったホームオートメーションに対する関心は高まっている。
また、オフィススペースへの関心が高まることによって、ビル管理会社がスマート照明への関心を高めているそうだ。マルチセンサーを搭載するスマート照明を導入することで、節電だけでなく、在席率や照明のレベル、空気の状態などをモニターし、制御できるようになる。大規模な導入も増えており、セイビン氏は「スマート照明はBluetoothの未来を主導するような大きな領域になっていく」と断言した。
デバイスネットワーク分野はスマート照明がけん引すると予想。この領域では標準化が非常に重要で、Bluetooth SIGは、照明制御機器間のデジタル通信規格の標準化を行う業界団体のDALI Allianceとともに、照明器具の制御および照明器具間の無線制御の仕様化を共同で行っている
関連記事
2020年のダウンロード数トップは「COCOA」 App Annieの「モバイル市場年鑑2021」から
App Annie Japanが「モバイル市場年鑑 2021」を発表。世界のモバイルアプリダウンロード数が過去最高となる約2180億件を記録し、2020年に日本で最もダウンロードされたアプリは「COCOA」だった。7~9月の世界スマートフォン販売、5.7%減 Appleは4位にランクダウン
米調査会社Gartnerによる7~9月期の世界スマートフォン販売は前年比5.7%減。前期は20%以上の減少だったため、コロナ禍の影響から回復しつつあると同社はみている。メーカー別ランキングではXiaomiがAppleを抜いて初めて3位になった。7~9月の携帯出荷台数は2019年から6.5%減、新型コロナの影響も
IDC Japanは、11月18日に国内の従来型携帯電話/スマートフォンの2020年第3四半期(7~9月)出荷台数を発表。前年同期比6.5%減の675.1万台で、減少の要因としては新型コロナウイルス感染症の影響や5G対応の新機種発売に伴うものと考えられる。2020年上半期のアプリダウンロード数は前年比25%増に App Annieが発表
App Annie Japanは、8月20日に2020年上半期(1~6月)のモバイル市場に関するレポートを発表。アプリのダウンロード数、消費支出、利用時間をはじめ、カテゴリーに見るアプリ市場動向の変化を分析している。改正法と新型コロナが“中古スマホ市場”に与えた影響は? RMJ粟津代表に聞く
2019年10月の電気通信事業法改正で端末割引が制限されたことで、脚光を浴びているのが中古端末だ。一方で3月以降はコロナ禍に見舞われるなど、中古端末を巡る環境も大きく変わりつつある。業界団体のリユースモバイル・ジャパン(RMJ)、代表理事の粟津浜一氏に、中古市場の現状を聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.