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新型「iPad Pro」は最上位モデルにふさわしい実力 エコシステムの拡大にも期待(3/3 ページ)

M1チップを搭載し、パフォーマンスを大きく上げた12.9型と11型のiPad Proが、5月21日に発売される。iPadシリーズとして初となる5Gへの対応や、12.9型版に採用されたミニLEDのディスプレイなども、新しいiPad Proの新機能だ。そんなiPad Proの12.9型版を、発売に先立ち試用することができた。

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新機能のセンターフレームは便利だが慣れも必要

 機械学習の応用例といえるのが、新しいiPad Proが搭載する「センターフレーム」だ。これは、ビデオ通話をしているときに、自動的にユーザーがセンターに来るように顔の位置を調整してくれる機能。標準アプリのFaceTimeに加え、ZoomやWebexといったビデオ会議アプリでも、センターフレームがデフォルトでオンになる。広角になったFaceTimeカメラで顔を認識して、必要な部分に寄るというのがセンターフレームの仕組みだ。


標準アプリ以外のオンライン会議アプリでも、センターフレームは有効になる

FaceTimeカメラが広角になっており、センターフレームでもこれを活用する。撮影時には画角の選択ができ、従来のiPadに近い画角での撮影もできる

 実際に試してみた動画は以下の通り。1つ目はZoom中に筆者が左右に動いてみた様子。もう1つは、iPad ProをMagic Keyboardに装着して、位置は動かさずに角度だけを変えてみた動画だ。ご覧の通り、ゆっくりとカメラが動き、筆者の顔が中央に表示される。カメラ起動時に着目すると、最初に広角で映し出されて、顔を認識した後、そこに徐々に寄っていく動きが分かる。

横に動いた筆者に追従して、映像が動いているのが分かる。iPadを上下に動かしたときにも、センターフレームが有効になる

 1カ所に座っていると、どうしても体が痛くなるため、ビデオ会議中に姿勢を変えたり、左右に首を動かしたりすることはあるはずだ。従来は、こうしたときにiPad Pro本体を動かして位置を調整していたが、センターフレームでその必要がなくなった。ただし、慣れるまではクセでiPad Proを動かそうとしてしまい、また位置がズレてしまって顔の位置を再調整するということがあった。センターフレームの動きがどうしても苦手というときには、設定でオフにすることも可能だ。

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5Gのパフォーマンスは十分、ただし楽天モバイルでは使えず

 Wi-Fi+Cellularモデル限定の話だが、新しいiPad Proは、iPad全体を通して初めて5Gに対応したモデルだ。扱うファイルサイズが大きくなることが想定されるため、通信速度の向上は歓迎できる。エリア次第ではあるものの、環境がよければ1Gbpsを超えることもあるため、Wi-Fiを探し回る必要性が少なくなる。ミリ波に対応していないのは少々残念だが、現状のエリアを考えると、Sub-6のみというのは現実的な選択肢といえる。


Wi-Fi+Cellularモデルは5Gに対応した

5G用の新周波数帯に対応したエリアなら、iPad Proで扱うデータ量の大きなファイルも送受信できそうだ

 iPhone 12シリーズ同様、5G接続時のみ、FaceTimeやビデオの画質を上げる設定にも対応する。ただし、取り扱いがないためか、現時点では楽天モバイルの5Gには非対応となる模様。同社のSIMカードを入れても、5Gの設定項目自体が現れない。キャリア設定が適用される前のiPhone 12シリーズと同じで、アンテナピクトに表示される通信方式も、「4G」ではなく「LTE」になる。


楽天モバイルでは、LTEまでしか選択できなかった

 M1を採用し、5Gにも対応したことで、スペックは隙がなくなったiPad Pro。12.9型版は、ディスプレイも従来のiPad Proを大きく超えるクオリティーで、最上位モデルの実力を見せつけた格好だ。そのパワーは、一般ユーザーがコンテンツを消費するために使うタブレットの域を超えており、Proの名にふさわしい仕上がりといえる。あとは次のステージに向けたエコシステムを拡大できるかどうか次第。タブレットとして独自の地位を築けたiPadシリーズなだけに、その進化に期待したい。

(撮影:香野寛)

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