Appleが開発者との集団訴訟で和解 App Store以外での支払いを容認
Appleが8月27日、2019年に起きた米国の複数の開発者による集団訴訟について和解したと発表。その内容を日本語で公開した。中小開発者への支援や検索機能の維持、審査レポートの公開など、開発者にとっては見逃せない声明だ。
米Appleは8月26日(現地時間)、2019年6月に複数の米開発者が起こした集団訴訟で和解に達したと発表した。
今回の訴訟は、同社が運営するApp Storeでリリースしたアプリに対して課せられる30%の手数料や最低価格の義務づけ、開発者に対する年間登録料などの慣行が独占禁止法に違反すると主張するもの。カリフォルニア州北部地裁に提訴された。
「App Store Small Business Program」は今後3年間継続
2021年1月から実施している、手数料を除く収益が100万ドル(約1億900万円、8月27日現在)以内の小規模事業者を対象として、有料アプリの手数料を30%から15%に引き下げる「App Store Small Business Program」を今後3年は継続する。
プログラムに参加している開発者が基準以上の収益を得た場合はそれ以降の手数料を30%に戻すが、基準を満たさなければ次の年から再び15%に減額する。
開発者がApp Store以外の支払い方法を伝えられるように
従来、Appleはアプリ開発者がメールなどでユーザーに対してApp Store以外でのアイテム購入などが可能だと通知することを禁じていたが、これを許可する。App Store以外での支払いについては手数料を支払う必要がなく、支払い方法の通知にはユーザーの同意が必要。
客観的な視点に基づいた検索機能を今後3年間維持
App Storeの検索結果を、ダウンロード数、評価、検索語句との関連性、検索するユーザーとの関連性(行動シグナル)といった客観的な特性に基づいて表示している、現在のシステムを今後3年間維持する。
アプリの価格設定オプションを拡大
従来、App Storeでは有料アプリやアプリ内課金に「Tier1」(120円、税込み)~「Tier87」(11万9800円)の価格設定機能を提供していたが、これを500以上に増やす。
App Reviewに不服申し立ての方法を説明するコンテンツを追加
開発者が、さまざまな理由で却下されたり配信を停止されたアプリに対する不服申し立てを行うため、申し立ての方法を説明するコンテンツを、アプリの審査を行う「App Review」のサイトに追加する。
App Storeでの審査ガイドラインは6月7日(現地時間)に更新されており、App Storeで不正なアプリを配信した開発者のアカウントを剥奪し、別の開発者が悪質なアプリを発見した際に報告できる仕組みを追加している。
却下アプリの数や無効化アカウントなどの情報を共有
App Storeで配信を却下したアプリの数や無効化したユーザーや開発者のアカウント、検索内容に関する客観的なデータ、App Storeから削除されたアプリの数など、アプリの審査に関わる統計データを毎年作成する。
米国の小規模開発者に対して基金を設立
2015年6月4日から2021年4月26日の期間において、合計の収益が100万ドル以下だった米国の開発者を支援する基金を設立する。詳細は後日発表する。
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