iPhone SEが「一括10円」で販売 上限2万円を超える値引きのカラクリとは?(1/3 ページ)
携帯キャリアによる「iPhone SE(第2世代)」の値引き合戦が過熱している。ある家電量販店では、9月の土日限定の値引きとして「MNPで一括10円」のキャンペーンをドコモ、au、ソフトバンクの各キャリアが実施していた。一見、大手キャリアにとってメリットがないような販売形態のカラクリに迫った。
携帯キャリアによる「iPhone SE(第2世代)」の値引き合戦が過熱している。ある家電量販店では、9月の土日限定の値引きとして「MNPで一括10円」のキャンペーンをドコモ、au、ソフトバンクの各キャリアが実施していた。
興味深いのは、このiPhone SEの割引は「通信契約なしでの単体購入」でも一部が適用されることだ。そして、昨今のiPhone SEを対象としたキャンペーンでは、端末単体購入の場合でも3万円程度の値引きが適用されていることが多い。一見、大手キャリアにとってメリットがないような販売形態のカラクリを探った。
過熱するiPhone SEの大幅値引き
2021年7月ごろから、土日を中心にiPhone SEなど一部機種を対象として「端末単体で3万円引き」といった大幅な値引き販売をする店舗が散見される。
この割引は2段構成になっていて、ある店舗では、端末単体購入でも3万円程度の割引を実施し、さらにMNP転入をすれば割引額が上乗せされて、最終的にiPhone SEの本体価格が「一括10円」といった価格まで値下げ販売といった案内が行われる。
実は端末単体で販売する場合、販売する携帯キャリア側に値引きするメリットはほとんどない。携帯キャリアがスマホを値引き販売するのは、新規契約を獲得して、継続的な収益を得ることにあるからだ。端末単体で値引き販売したとしても、回線を使ってもらえなければ、ただ赤字を積み増すだけになるだろう。
そうした意味で、iPhone SEの「端末単体で3万円引き」という値引き条件は、販売側にメリットのない奇妙なキャンペーンに見える。
「端末単体購入」とは
上述した通り、大手キャリアの販売店では回線契約なしで、スマートフォンだけを購入することができる。これは「移動機物品販売」や「端末単体販売」、または「白ロム販売」と呼ばれる手続きで、従来の機種変更とは違うものだ。以下で実際の手順を簡単に説明しよう。
購入の手順は大手キャリアで携帯を買う場合と大きくは変わらない。端末単体で購入したい旨を伝えると、在庫の有無を確認した後、カウンターで重要事項の説明を聞き、申込書類を書くことになる。
ドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアでは一括販売と、割賦契約(分割支払い)の両方に対応し、購入時の手数料は無料。希望すれば無料でロック解除も行える。
具体的な手続き方法は各社で異なるが、通常の携帯電話契約よりも時間がかからず完了する。最もシンプルなのはauで一括払いをする場合で、購入者の情報を求められず、通常の家電製品を購入するような感覚でスマホを購入できる。
ソフトバンクでは、携帯電話番号の「契約管理番号」という番号が発行され、My Softbankで契約書類のダウンロードなどが可能となる。このために本人確認が必要だ。
NTTドコモも、端末単体購入のために専用の手続きを用意している。ただし、一部の割引が適用される場合は「新規契約」の形式を取り、割引適用後に回線契約をキャンセルするという内部的な処理が行われる。ドコモ広報部によると、この対応はシステム整備の都合による暫定的な対応で、今後解消に向けた早期のシステム対応を検討しているという。
【訂正:2021年10月21日9時00分 初出時、「割引適用後に回線契約をするという内部的な処理」としていましたが、正しくは「割引適用後に回線契約をキャンセルするという内部的な処理」でした。おわびして訂正いたします。】
なお、この移動機物品販売という手続きは、総務省が各キャリアに整備するように求めたもので、原則として携帯キャリアはこの手続きを拒否することはできない。
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