決算で判明、明暗分かれたpovoとLINEMO “オンライン”以外での差別化がカギに:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
鳴り物入りで登場した大手キャリアのオンライン専用料金ブランド/プランだが、開始から1年たたずに、サービスの姿を変えつつある。LINEMOは3GBプランを追加し、povoは月額0円からの「povo2.0」にリニューアル。特に支持されているのはpovo2.0のようだ。
LINEMO開始後もY!mobileが伸びるソフトバンク、0円開始には否定的
対するソフトバンクは、LINEMOとその前身であるLINEモバイルの契約者数を、合算で公表している。2ブランド合計でのユーザー数は、100万契約超。MVNO側のLINEモバイルは、新規契約を終了しており、既存ユーザーに限定してサービスを提供しているため、4月以降の増分はLINEMOが獲得したユーザーになる。LINEMOは、7月にデータ容量が3GBのミニプランを導入したが、これを導入して以降、「勢いが増している」(ソフトバンク 代表取締役社長兼CEO 宮川潤一氏)という。
とはいえ、LINEモバイルはMVNOの中で比較的シェアが高く、2021年6月末時点でSIMカード型契約者の6.1%を占めている。SIMカード型の契約者全体が1550万。6月末時点で、約95万契約がMVNO側のLINEモバイルに残っていた計算になる。四半期で0.6%分のシェアを失ってはいるが、LINEMOへの移行が必ずしも順調に進んでいないことが分かる。ミニプランを投入した7月からユーザーの移行が加速している可能性はあるが、個別の契約者数を非開示時にした背景には、依然としてLINEモバイルの占める割合が高止まりしていることがありそうだ。
実際、宮川氏も「われわれにはY!mobileがあり、正直、Y!mobileの方がお客さまのウケがいい」と明かしている。その開きは想像以上に大きく、「オンラインのLINEMOがいいという方がいるので、それはそれで受け入れるが、Y!mobileの方がはるかに上」(同)だという。宮川氏が「Y!mobileを強化していきたい」(同)と語っていたように、ソフトバンクにとって、現時点での優先順位はY!mobileの方が高いといえそうだ。
そのため、0円からを打ち出した楽天モバイルのUN-LIMIT VIやpovo2.0には、同様の料金プランで対抗する予定もないという。宮川氏は、回線の維持費を無料にすることに関しても否定的な見解を示した。維持費が無料のプランだと、サービスやネットワークの運用、保守体制を維持にするためのコストを賄えず、料金を払っているユーザーとの間で公平性が保てないというのが同氏の考えだ。
「0円スタートの料金プランも存在するが、技術を長いことやってきた立場から申し上げると、24時間365日体制で深夜にも社員が出社し、ネットワークの監視を行っている。機械は必ず壊れる。自動でリブートすることもやってはいるが、それでも上がってこないときには現地に行く。こういう運用コストがまかなえないところまで(料金を)踏み込むつもりはない。加入者にはある程度基本的なネットワーク維持コストは応分で負担していただき、それに加えて使用量に応じた料金の違いがあるのがベストだと思っている」
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