キャリア各社がドローンビジネスに本腰――2022年度にレベル4解禁でドローンは儲かるのか:石川温のスマホ業界新聞
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが、ドローンビジネスに本腰を入れ始めた。2022年度に実施される予定の規制緩和によって、有人地帯における「目視外飛行」が解禁されることを見越した動きだと思われる。
キャリア各社がドローン事業にアクセルを踏み始めている。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年11月20日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
ソフトバンクは11月7日に和歌山県すさみ町で災害時のドローン活用として、支援物資などをドローンで配送する実証実験を実施。
KDDIは11月20日、東京・竹芝でドローンによる有人地帯でのフードデリバリー実証実験を行った(東京都の公募に対して提案した「東京都におけるドローン物流プラットフォーム社会実装プロジェクト」の一環)。
NTTドコモは11月18日にドローンビジネス「docomo sky」の新たな取り組みについて、オンライン会見を実施した。
ドローンの市場規模は、2025年には1500億円に達する見込みだという。NTTドコモの5G・IoTビジネス部 ドローンビジネス推進担当部長 牧田俊樹氏は「ドローンビジネスは、規制緩和とともにマーケットが広がるという特徴がある」と語る。
これまでは目視内・自動運転のレベル2であったが、2021年度には目視外・無人地帯(レベル3)、2022年度には目視外・有人地帯(レベル4)まで規制が緩和される。
KDDIの有人地帯でのフードデリバリーも2022年度のレベル4解禁を見据えたものとされる。
目視外飛行となれば、当然、Wi-Fiの電波では届かず、LTEの通信回線がつながるのが望ましい。もちろん、GPSと自動操縦であれば電波がなくても飛んでいくが、LTEとつながっていれば、現在地の確認やリアルタイムの映像を見ながらの操作、確認などが行える。まさにキャリアにとってみれば、レベル3やレベル4の導入はビジネスチャンスというわけだ。3キャリアとも数年前からドローンビジネスに熱心であったが、ようやく規制緩和が追いついてきたというわけだ。
NTTドコモでは「docomo skyセルラードローンパートナープログラム」として、ドローンの機体メーカーにセルラー対応の開発に対して技術支援を行うプログラムを立ち上げた。さらに企業自治体向けには「docomo sky医薬品配送パッケージ」「docomo sky広域災害対策パッケージ」を提供するという。企業や自治体がセルラードローンを活用しやすくなるわけだ。
セルラードローンで気になるのがネットワークだ。そもそも、キャリアが展開するセルラーネットワークは地上にいる人に向けて電波が飛んでいる。かつて「セルラードローンが飛行するためにはネットワークの角度などの調整も必要かも知れない」なんて話があった。
そのあたりを牧田氏にぶつけてみたが、実際はそこまで気にする必要はないような回答であった。「山間部など圏外のところも多いのでは」といった質問に関しても、飛ばす先は集会所など人がいるようなところが多く、そういった場所は電波が通じるところがほとんど。確かに山を越えるときは圏外のところもあるが、事前の飛行ルートをシミュレーションするので圏外部分を避けて飛ばすことも可能のようだ。
5Gとなれば高速大容量で高画質な映像をリアルタイムに送れるようになるだろうし、超低遅延で遠隔でクイックに操作できることになりそうだ。
3キャリアでドローンビジネスが盛り上がりそうな気がする一方で、人口カバー率96%を計画する楽天モバイルが取り残されることになりそうだ。
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