新しいIoTデバイスの実用化のためにバッテリーの開発を加速――ソフトバンクが「次世代電池Lab.」を公開(1/4 ページ)
ソフトバンクが、6月に栃木県宇都宮市内に開設した「次世代電池Lab.」を報道関係者に公開した。そもそもなぜ、ソフトバンクはバッテリー(充電池)の開発に注力するのだろうか。そしてどのようなバッテリーを作ろうとしているのだろうか。その辺りの事情もチェックしてみよう。
ソフトバンクは11月2日、次世代電池に向けた3つの新技術を開発したことを発表した。同社は今後も次世代電池の研究/開発を継続し、従来よりも高密度かつ高容量なバッテリー(充電池)の実用化に結び付けたいとしている。
同社は11月3日、「次世代電池」への取り組みを説明するイベントを栃木県宇都宮市の「ソフトバンク次世代電池Lab.(ラボ)」で開催した。この記事では、その模様をお伝えする。
次世代デバイスの実現には「次世代電池」が欠かせない
ソフトバンクは2018年から「リチウム空気電池」の開発に取り組んでいる。リチウム空気電池は、大容量バッテリーにおいて現在主流の「リチウムイオン電池」と比べると、理論上のエネルギー密度が数倍に達する。
高密度バッテリーをコンパクトに作れるようになれば、ドローンやハイエンドロボットなど、次世代のIoTデバイスをより実用的に動かせるようになる。電気自動車も、同じ容積でより走行距離を伸ばすことができる。同社の立場であれば、成層圏通信プラットフォーム「HAPS」や次世代の移動通信システム「6G」の実現に向けたキーデバイスの1つともいえる。
次世代電池の実現に向けた検証を加速
ソフトバンクでは社内の体制を強化しつつ、物質・材料研究機構(NIMS)とも協業してリチウム空気電池の実現に向けた研究/開発活動を続けてきた。そして2021年3月、同社はリチウム空気電池を始めとする次世代電池の早期実現を目指して、ソフトバンク次世代電池Lab.を開設することを発表した。
2021年6月、次世代電池Lab.はエスペックの「バッテリー安全認証センター」内に開設された。エスペックは電子機器や工業製品の環境への影響を調べる「環境試験器」において世界有数のシェアを持つ企業で、試験器の開発などを通して培ったノウハウを生かした各種試験の受託でも定評がある。
関連記事
- ソフトバンクが“次世代電池”を開発 配送ドローンやHAPSでの実用化を目指す
ソフトバンクが、次世代電池の研究開発と早期実用化を推進するために次世代電池の評価・検証施設「ソフトバンク次世代電池Lab.(ラボ)」を6月に設立する。次世代電池は世界各国で開発競争が進んでおり、今後の次世代デバイスの登場には不可欠とされている。同社は高密度化を進めることで、次世代デバイスへ適用していくことを目指す。 - 2025年に「リチウム空気電池」の実用化へ ソフトバンクと物質・材料研究機構が連携
ソフトバンクは、4月11日に物質・材料研究機構と「NIMS-SoftBank先端技術開発センター」の設置に関する覚書を締結。両者はセンターでの共同研究を通し、次世代の電池である「リチウム空気電池」の実用化に向けて連携を開始する。 - 「株式上場」「LINEモバイル提携」――ソフトバンクのこれから
- モバイルネットワークを活用した「ドローン配送」は、いつ実現されるのか?
上空からユーザーの元へ直接荷物が配送される――。そんな未来が「ドローン」によって近づきつつある。その鍵を握るのがモバイルネットワーク。NTTドコモとKDDIに、ドローン配送への取り組みを聞いた。 - ドコモ、基地局の長期停電対策で燃料電池を使用――遠隔操作による省電力化も
ドコモが、災害時などで長期停電となった際の、基地局における新たな対策を発表した。従来の鉛蓄電池よりも軽くて小型の燃料電池を運用するほか、停電などで基地局装置が非常用電源で運用された場合、遠隔操作で省電力化を図る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.