インタビュー

NTTドコモに聞く「エコノミーMVNO」の勝算 収益性や参画のハードルはどう見る?(2/3 ページ)

NTTドコモの「エコノミーMVNO」が始動し、10月からはNTTコミュニケーションズのOCN モバイル ONEが、ドコモショップでの契約に対応。12月にはフリービットグループのトーンモバイルも、「トーンモバイル for docomo」の提供を開始する。そんなエコノミーMVNOの狙いをドコモに聞いた。

dポイントの仲間になってもらうことに期待

―― ドコモショップで契約できますが、実際にはドコモからユーザーが出ていってしまうため、収益性は悪くなると思います。この点はどうお考えですか。

蓑手氏 お客さまのために一番いいご提案ができればと思っています。エコノミーMVNOを選んでいただけるのは、その結果です。確かに(OCN モバイル ONEの)上の方の料金プランはドコモと近接していますが、自然とすみ分けができるかもしれない。そこはお互いに努力するところです。

―― MVNOからの接続料が入ってくるため、間接的には収益がゼロになるわけではありませんが、直接ドコモを契約したユーザーと比べるとかなり収入は減りそうです。

advertisement

蓑手氏 dポイントの仲間になっていただけることに期待しています。確かに通信料金だけで見ると、接続料になってくるのでユーザーから直接料金をいただくよりは(収入が)下がってきます。ですから、その辺のビジネスをどう強化していくか、ですね。dポイントを皮切りにどうビジネスを拡大していくかは、各社と協議しています。

―― それは例えば「dマガジン」のようなコンテンツを使ってもらうというようなことでしょうか。

蓑手氏 そうですね。動画だとある程度データを消費してしまいますが、(MVNOの料金プランと相性のいい)ライトなコンテンツはお勧めしやすいと思います。


直接ドコモのユーザーとならなくても、dポイント連携することで、ドコモの会員基盤を拡大できる

dポイントはMVNOにとってもメリット、手数料の条件は合理的

―― 一方で、dポイントを導入するとなると、ポイントプログラムを全面的に刷新しなければならず、MVNOにとって少々ハードルが高いような印象も受けます。

蓑手氏 繰り返しになってしまいますが、店頭でお勧めさせていただく環境を作る上で、ウィンウィンになるため、協議の中ではdポイント導入のお話をさせていただいています。OCN モバイル ONEもトーンモバイルも、自分たちのサービスを変えることに関して、お客さまとのコミュニケーションやシステム面での手当ては必要でしたが、dポイントの仲間になることで彼らにもメリットが出てきます。こういったことを一緒に考えていければと思います。

―― 条件面では、手数料が高いという声も小耳に挟んだことがあります。一方でOCN モバイル ONEは、ドコモショップで扱ってもらえるメリットを考えると高くはないという反応でしたが、こういった声についてはどのようにお考えでしょうか。

蓑手氏 どういうお声かは詳しくは存じ上げませんが、それなりに手続きに時間がかかることを考えると、ご提示している手数料の条件は当社として合理的だと理解しています。そこに乗っていただけるかどうかというところです。ただし、(MVNOと)お話をさせていただいている限りでは、直接そういう声が出ているということはありません。ドコモショップという販路で期待できることを考えれば、リーズナブルだと判断しているのではないでしょうか。

―― 手数料を下げて、サポートはなし、SIMカードを物販で販売するだけというような販売方法は検討されてないのでしょうか。諸外国だと、MVNOのSIMカードをキャリアショップで販売だけしているケースもありますが。

蓑手氏 そこまでは考えていません。店頭での手厚いサポートを期待されている方がドコモショップに来店する方の多くを占めているからです。吊り下げ販売といった簡易的なものだと、お客さまサービス上なかなか厳しいと思います。

―― 現状はドコモショップのみですが、ドコモ回線を取り扱っている量販店での展開などもありえるのでしょうか。

蓑手氏 ご要望は聞こうと思っています。量販店からご要望があれば、ご意見を聞いて考えていきます。

MVNOのプランを制限することはない

―― 今後、トーンモバイルの取り扱いも始まると思いますが、ドコモショップ側はどのようにお勧めしていくことになるのでしょうか。

蓑手氏 フリービットがまだ料金を発表されていないので、(詳細は)発表をお待ちいただければと思います。発表会の際にお話ししましたが、トーンモバイルであれば見守りサービスが特定の層に非常に訴求力があります。そこに関心のある方にお勧めするという売り方はできると思います。

 一方で、料金が近接しているようなときにどうするかという話はありますが、そこはいかに適切に説明できるかだと思います。

―― 子ども向けのサービスについては、ドコモ側にもあります。今後、ああいったものはエコノミーMVNOに任せていく方針なのでしょうか。

蓑手氏 たまたまトーンモバイルがそこに強みがあっただけです。私どものキッズ向けサービスの訴求が届いていなかった層にサービスを届けるきっかけになると考えています。


トーンモバイルのサービスは、子どもの見守りサービスに関心の高い層に勧められる

―― 低廉、低容量という位置付けのエコノミーMVNOですが、MVNOのプランはそれだけに制限しているのでしょうか。

蓑手氏 大容量プランに関しては、私どもに訴求力がないわけではありませんので、お客さまを混乱させてはいけないことを踏まえると、基本的にはドコモのプランが優先されると考えています。また、今は低容量、低料金のご提案ですが、そのご提案に対して大きくネガティブな意見をいただいているわけではありません。どうしても大容量でいきたいとご要望される事業者がいらっしゃるとすれば、協議がまとまるかどうかですが、プランを制限することはありません。店頭でお勧めできるのはこれという言い方になると思います。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.