ドコモの「エコノミーMVNO」で“弱点”解消なるか 対サブブランドでは収益性が課題:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
ドコモが2020年12月のahamo発表時にコンセプトを披露していた「エコノミーMVNO」の詳細が決まった。ドコモ自身が提供する料金プランではないが、あたかもドコモ内の料金プランかのように契約できる。ドコモの料金カテゴリーとはいえ、実態としてはユーザーを自らMVNOに送り出しているため、収益性が課題となる。
NTTドコモが2020年12月のahamo発表時にコンセプトを披露していた「エコノミーMVNO」の詳細が、ついに決まった。当初、予告されていた通り、エコノミーはドコモ回線を使うMVNOと連携。第1弾としてドコモの子会社化を予定しているNTTコミュニケーションズのOCN モバイル ONEが、第2弾として子どもやシニアをターゲットにするフリービットのトーンモバイルが、エコノミーの枠組みに加わる。
エコノミーは、ドコモ自身が直接提供する料金プランではなく、ユーザーはあくまでMVNOと契約を結ぶ。一方で、ユーザー視点で見ると、ドコモ回線を契約するのと大きな差異がないような工夫も凝らされている。ドコモショップを活用して、サポートを行っていくためだ。端末も、ドコモが販売するスマートフォンをその場で購入できるという。ここでは、エコノミーの仕組みを改めて解説するとともに、ドコモの狙いや業界に与えるインパクトを考察した。
“ドコモの低容量プラン”の役割を担うエコノミーMVNO
ドコモの料金プランは、大容量/無制限を軸にした「プレミア」と、オンライン限定のahamoの2つに分かれる。プレミア側には「ギガライト」や「5Gギガライト」のような段階制の料金プランもあるが、主力は「ギガホ」や「5Gギガホ」のような大容量/無制限プランだ。対するahamoはデータ容量が20GBで、中容量のユーザーに対してリーズナブルな料金プランを提供する狙いがある。エコノミーMVNOは、この下のカテゴリーとして新設された。
新設といっても、ドコモ自身が提供する料金プランではない。主体となるのは、ドコモ回線を使うMVNO。ユーザーが契約するのも、ドコモではなくそれぞれのMVNOになる。現時点でエコノミーMVNOに参画するのは、NTTコミュニケーションズのOCN モバイル ONEとフリービットのトーンモバイルの2社。前者は10月21日、後者は12月にサービスを開始する。
ドコモ自身が提供する料金プランではないが、あたかもドコモ内の料金プランかのように契約できるのがエコノミーMVNOの特徴だ。エコノミーMVNOに参画したMVNOの回線は、ドコモショップで契約が可能になる。契約の手続きはもちろんのこと、APNの設定をはじめとした初期設定のサポートも行う。さらには、回線の契約と同時に、ドコモが用意したスマートフォンを購入することができる。9月にスタートした残価設定型の「いつでもカエドキプログラム」も利用可能だ。
ドコモショップでどのように案内するかにもよるが、ギガライトや5Gギガライトでは高いと難色を示したユーザーに対し、エコノミーMVNOを勧めることは十分ありえる話だ。KDDIのUQ mobileやソフトバンクのY!mobileの対抗馬としてMVNOを活用すると言えば、その役割が理解しやすいだろう。実際、OCN モバイル ONEは3GB/月コースが月額990円、6GB/月コースが1320円で、料金水準は他社のサブブランドに近い。4月の料金改定で中容量以上の料金プランをやめ、1GBから10GBに絞ったことで、20GBのahamoや60GB/無制限のギガホ/5Gギガホとは差別化が図れている。
リーズナブルな料金体系が中心になる他社のサブブランドとは一線を画した取り組みになりそうなのが、12月に加わるトーンモバイルだ。トーンモバイルは、子どもやシニアに特化しており、独自の見守りサービスに磨きをかけてきた。キッズケータイやらくらくスマートフォンを提供するドコモと一部競合はするものの、よりリーズナブルな料金で利用でき、ネットワークサイドで見守り機能を実装しているのがトーンモバイルの強みで、ドコモショップで提供できるサービスの幅を広げることにつながる。
エコノミーMVNOとは“経済圏”でも連携する。この枠組みに入るMVNOはdポイント加盟店という扱いになり、dポイントの付与や利用が行えるようになる。毎月の通信料に対して一定額のdポイントが付くことに加え、通信料金の支払いに対してdポイントを利用できるのがユーザーにとっての魅力といえる。もともとの金額が安いため、付与されるdポイントは微々たるものになりそうだが、逆に買い物などでためたdポイントだけで通信料の支払いを済ませてしまうこともできそうだ。
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