当時は“世界最先端”だった――日本の「ケータイアプリ」の歴史を開発目線で振り返る:ITmedia Mobile 20周年特別企画(4/4 ページ)
昔のケータイ(フィーチャーフォン)は、「Java」または「BREW」で構築したアプリを楽しむことができました。かつて「ケータイ向けWebブラウザ」に携わっていた筆者が、かつてのケータイ向けアプリを開発目線で振り返っていきます。
仕様やポリシーの都合で配信が難しかったアプリも
このように、世界に先んじて「携帯電話×アプリ」が普及した日本のケータイですが、仕様やポリシー(戦略)の違いでキャリア(場合によっては機種)によって提供できるアプリの内容や機能に差が生じることも多々ありました。それでも、ケータイ単体でのデータ定額オプションが登場したことにより、ケータイ単体では提供できなかったさまざまな機能やサービスをもたらすアプリも生まれました。
筆者が勤務していたケータイアプリの開発会社はかつて、ケータイからPC用Webサイトを閲覧できる“フルブラウザ”や、ケータイから長尺の動画を配信するためのプラットフォームなどを提供していました。
いずれのサービスも当時、ユーザーからのニーズは大きいものでした。しかし、ネットワーク負荷や通信事業者の戦略との不一致といった理由で、これらのアプリやプラットフォームはキャリアから必ずしも歓迎されていたわけではありません。キャリアによっては開発したにも関わらず提供の承認が得られなかったり、承認を受けるまでに長い期間を要したりすることもありました。
アプリの支配権は「キャリア」から「プラットフォーマー」に
しかし、スマホのアプリは「Google Playストア」「App Store」といったOS提供者(プラットフォーマー)のサービスを使って配信することが基本です。これらはキャリアによるコントロールは不可能です。「ポリシーとは合わない!」という理由で流通や利用を制限することもできません。
アプリ開発者の視点に立つと、スマホが世界各地で使われるようになった今は“チャンス”ともいえます。作ったアプリを日本国内だけでなく海外向けにも配信しやすいですし、開発に当たってキャリアごとの「仕様」の差を考慮する必要もありません。
ただ、視点を変えるとアプリの“命運”を握るのがキャリアからプラットフォーマーに変わっただけともいえます。アプリを作っても、プラットフォーマーのポリシーに従うことは必須で、審査に通らないと公開できないので……。
余談:自分の20年前を振り返りつつ、未来に思いをはせる
20年前、筆者は学生でした。通学途中の電車内で「ZDNet Mobile」(後のITmedia Mobile)をよく読んでいたことを思い出します。
今でこそ超高速のモバイルデータ通信の常時接続が当たり前ですが、当時は通信速度が低速だったり、通信によるバッテリー消費が大きかったり、そもそも地下鉄では圏外になったり……と、移動中のWebサーフィンもなかなか大変でした。Webコンテンツを一時保存してオフラインでも見られるサービスを活用し、家を出る前に「Palm」にダウンロードして閲覧していたことを思い出します。
今は、至る所でLTE(場所によっては5G)の高速通信が使えるようになり、大画面のスマホを使って移動中の電車の中でニュースだけでなく動画のストリーミング視聴も“当たり前”のようにできます。
ケータイ、スマホやウェアラブルデバイスは、世界中の人々が肌身離さず使うツールになりました。これらが、これからの20年をもっとワクワク、楽しくしてくれることを期待しています。
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