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台湾は5Gデータ使い放題プランで平均60GBの利用量――日本は5G活用で世界から取り残されてしまうのか石川温のスマホ業界新聞

エリクソンが「世界のモバイル事情と最新動向」を説明する記者説明会を開催した。同社の親会社であるEricssonでは日本や韓国の携帯電話のデータ利用量をまとめて「北東アジア」として集計しているが、この地域において日本の平均データ通信量が多いという話を聞くことはあまりない。これでいいのだろうか?

 エリクソンは12月21日、「エリクソン・ジャパン、世界の最新モバイル事情と最新動向に関する記者説明会」を開催した。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年12月25日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。

 その中で気になったのが北東アジアの状況だ。エリクソンでは「日本」としてのデータは発表しておらず、韓国などを含んだ「北東アジア」のなかに日本を含めている。

 韓国はデータ利用量が多いため、北東アジアの数字は日本よりも高めの数字が出てくることになる。

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 今回のレポートでは、スマートフォン1台あたりの地域別データ使用量は、2021年、北東アジアで13.9GBであった(世界平均は11.4GB)。これが2027年には48GBまで増えるという。

 今回、台湾でのデータが切り出されていたが、台湾では加入者一人あたりのトラフィック量は2021年で26.6GBだったという。昨年は22.5GBだった。

 エリクソンでは「データ使い放題プランとモバイルサービスへの強い要求が牽引している」としている。

 台湾のキャリアであるFETでは、4Gと5Gのすべてのデータプランの平均が30GBなのに対して、4Gの無制限プランでのデータ利用量が51GB、さらに5Gの無制限プランでのデータ利用量が60GBにもなるという。

 デバイスの進化とネットワーク性能の向上、迅速な5Gネットワークカバレッジの構築がデータ利用量を押し上げたとされる。

 日本において、ユーザーのデータ利用量調査はあまり見ることはないが、20GBを超えているという話は聞かない。むしろ、総務省が値下げ圧力をかけていた際は「20GB以上、使っているのは全体の1割しかなく、ほとんどの低容量。少ないデータ容量のプランを拡充すべき」という主張であった。

 今週、総務省は新料金プランに乗り換えたユーザーの契約者数が約2930万件になったと発表。国内契約数の約2割に相当すると自慢げに語られていた。

 しかし、通信で世界をリードしたいという国策を考えているのであれば「値下げプランに乗り換えた人が増えた」で喜んでいる場合ではないのではないか。

 韓国や台湾のキャリアが5Gネットワークを強化し、トラフィック量が大量に流れているということは、それだけ国民がスマートフォンを活用しているということになる。

 日本では今週、ようやくマイナンバーカードとスマートフォンを組み合わせて、アプリで新型コロナワクチン接種済み証明証を取得できるようになったばかりだ。

 こうした行政のDXをさらに進めるためにも、5Gネットワークが広がり、5Gスマートフォンももっと普及しなくてはならない。

 いつまでも値下げプランにこだわっているようだと、日本の通信業界と国民は世界から大きく取り残されることになりそうだ。

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