「BALMUDA Phone」を冷静に評価する 価格だけではない、決定的な“惜しい”ポイント(2/3 ページ)
バルミューダが発売した「BALMUDA Phone」を試してみる。京セラをパートナーに迎えソフトバンクから発売されたスマホだが、製造精度は高い反面惜しい点が目立つ。
中高年や高齢者を狙ったと思われるホーム画面
新規参入のメーカーでまず気になるのは、本体の剛性や組み立て精度といったごく基本的な部分だ。過去の異業種から新規参入したメーカーだと、この点で不安を感じる製品もあったが、BALMUDA Phoneは家電メーカーの製品であることに加え、スマートフォンや携帯電話で老舗の京セラがパートナーということで気になる部分はなかった。
基本的な操作方法はAndroidの標準的なものに沿っている。その上で、スマートフォンの操作性に対してバルミューダがカスタマイズしている。これはどのメーカーでも実施しているが、多くはランチャー機能やゲーミング支援といった世界共通で受け入れられる機能強化が多い。だが、BALMUDA Phoneは日本の中高年や高齢世代の共感を狙った要素が多いという印象だ。
ロック画面にはカレンダーが表示され、ロックを解除すると個人のプロフィールや電話番号、天気情報を表示できる。帯状のストライプは自由にカラーを変えられる他、登録したアプリへのショートカット機能も備えている。
世代によってはホーム画面へ個人情報を載せることに拒否感を持つだろう。もちろん、後述するカスタマイズの設定で消すこともできる。だがその一方で、電話中心の人にとっては電話番号ぐらい設定アプリを深掘りしなくても確認したいし、バブリーな時代のスーツのネーム刺しゅうなどを意識した装飾が好ましいと感じる人がいることは理解できる。
画面を左にスワイプすると、バルミューダ製のスケジューラーや時計などのツールアプリを直接操作できる。ホーム画面を上フリックで表示すされるアプリ一覧は、アプリの使用順などでソートできる。
実際の操作感は良好で、動作が遅いといったことはない。また、ホーム画面のカスタマイズ項目も充実しており、ストライプの配色やどのプロフィール情報を表示するか、どのツールアプリの表示・非表示するかなどを細かく指定できる。バルミューダ標準のホーム画面の見た目を維持したまま使うもよし、一般的なAndroidスマホのようにアイコンやウィジェットを並べるもよし。独特の世界観と、自分好みにもカスタム可能なバランスの良さを保っている。
デザインと使い勝手を両立させた独自アプリ
BALMUDA Phoneの特徴である、スケジューラーや電卓などのツールアプリもシンプルで使いやすい。自分の認識できる範囲のデータを快適に操作、整理することに長けている。
例えばスケジューラーは、ピンチイン/ウトで日別のリスト表示から1日詳細表示に変えられる直感的な操作法を採用。最小限の学習で使えて前後の予定を一覧しやすく筆者にとっても好みのUI(ユーザーインタフェース)だ。ただ「Google カレンダー」との同期には対応しているものの、予定を見る、入力する以外の機能はなく、専門アプリのようなカスタム機能やiPhoneなどで使えるメール内容からの予定の入力補助といった機能はない。スケジューラーを徹底活用している人には物足りないだろう。この使い勝手をベースに、より実用的なアプリに進化させてほしいところだ。
電卓も億や万の単位表示や、ドル円など通貨換算の機能を搭載。メモも記入内容を画面上に付箋のように貼り付けるアナログ的な整理方法は、頭で把握できる分量を扱うのには使い勝手が良い。
細かく言えばデザイン優先で見やすさや使い勝手に不満のある部分もあるし、機能面で物足りない部分も多い。だが、初のスマートフォン向け独自アプリでここまでデザインと使い勝手を両立できている点には驚かされる。BALMUDA Phoneの価値がもしこのアプリ群にあるのであれば、アプリ単体で販売してほしいと思わせるぐらい進化させてほしいところだ。
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