「オンライン」と「リアル」がリンクする――ソニーが語る“耳をふさがない”ワイヤレスヘッドフォン誕生の背景:「Xperia Ear Duo」との関係は?(1/2 ページ)
ソニーが2月25日、新型のワイヤレスヘッドフォン「LinkBuds(リンクバッズ)」を発売する。その発表会で担当者が語ったことを交えつつ、この製品の特徴を解説する。
既報の通り、ソニーは2月25日、新型のワイヤレスヘッドフォン「LinkBuds」(WF-L900)を発売する。市場想定価格は2万3000円前後(税込み、以下同)となる。
この記事では、2月16日に行われた発表会の様子を交えつつ、LinkBudsの詳細を解説していく。
LinkBudsの概要
LinkBudsは、耳をふさがない構造であることが最大の特徴で、ヘッドフォンを装着した状態でも周囲の音が聞こえるようになっている。装着する際は、耳の穴に直接入れ込まずに、耳甲介(じこうかい)と呼ばれる耳のくぼみに収めるように使う。
音質面では、リング型(12mm径)ドライバーユニットを採用した他、完全ワイヤレスヘッドフォンの最上位モデル「WF-1000XM4」(想定価格3万3000円)と同じ「統合プロセッサーV1」を搭載することで高S/N比とゆがみの抑制を両立し、圧縮音源を原音に近い広がりのある音で再現できる「DSEE」を組み合わせることでクリアなサウンドを実現したという。
LinkBudsにはマイクも内蔵されており、スマートフォン、タブレットやPCのワイヤレスマイクとして利用することもできる。
5億を超えるサンプルを機械学習で解析して作られたAI(人工知能)によって、装着者の声とそれ以外の環境ノイズを分離し、装着者の声をクリアに抽出するアルゴリズムが搭載されている。これにより、騒がしい場所でも大きな声を出さずに会話を楽しめるとのことだ。
「周囲の音を聞きながら音楽を楽める」「音声で情報を確認できる」「耳をふさがない」といった特徴は、旧ソニーモバイルコミュニケーションズ(現ソニー)が2018年4月に発売した「Xperia Ear Duo」と似ている。
ソニーのホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ事業本部 モバイルプロダクト事業部 モバイル商品企画部の伊藤博史統括部長によると、LinkBudsは「(Xperia Ear Duoとは)直接的な関係性はないが、過去の製品で培ったことは生かされている」という。
両製品の違いは、ドライバーユニットの構造に大きく出ている。Xperia Ear Duoは、耳たぶの後ろにドライバーなどを配し、音導管を通じて耳穴まで音が伝わるという構造だった。それに対して、LinkBudsはドライバーユニットと振動板が一体化され、ドーナツ型となっている。なお、LinkBudsの音の出る仕組みは「市場に出回っている(他の)完全ワイヤレスイヤフォンと変わらない」(伊藤氏)。
耳をふさがない構造だから実現できる音体験
LinkBudsには、耳をふさがない構造を生かした2つの特徴がある。
1つは、Sound ARサービス「Locatone(ロケトーン)」のヘッドトラッキング機能に対応したことだ。これにより、現実世界と仮想世界の音が“混ざり合う”新感覚の音響体験が楽しめる。
これはARゲームをプレイする際も同様で、周囲の音とゲームの音が混ざり合うことで「よりARゲームの世界観を楽しめる」とソニーはアピールする。LinkBudsの発表に合わせて、ソニーは位置情報を活用したARゲームで知られるNiantic(ナイアンティック)との協業を発表し、2022年内にAR位置情報ゲーム「Ingress(イングレス)」との連携を実現する方針を示している。
LinkBudsは“個人最適化”に対応しているため、「Headphones Connectアプリ」を使えばヘッドフォンの再生特性を耳の形に最適なものに調整できる。加えて、Locatoneアプリのヘッドトラッキング機能にも対応し、臨場感のある立体音響を楽しめるという
もう1つは、Microsoftが提供する3Dオーディオマップアプリ「Microsoft Soundscape」との連携機能だ。LinkBudsに内蔵されたコンパスとジャイロセンサーを活用して頭の向きを認識することで、スマホを手に持たなくても目的地の方向をビーコン音で認識できるようになるという。周囲にある建物や交差点などの情報を音声で取得することも可能だ。
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