「オンライン」と「リアル」がリンクする――ソニーが語る“耳をふさがない”ワイヤレスヘッドフォン誕生の背景:「Xperia Ear Duo」との関係は?(2/2 ページ)
ソニーが2月25日、新型のワイヤレスヘッドフォン「LinkBuds(リンクバッズ)」を発売する。その発表会で担当者が語ったことを交えつつ、この製品の特徴を解説する。
耳をふさがない構造は「ながら聴き」のニーズから
なぜ耳をふさがない構造のLinkBudsが誕生したのだろうか。ソニーホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ事業本部 モバイルプロダクト事業部の中村裕事業部長は「人同士だけでなく、さまざまなコンテンツと常につながって(リンクして)いたい」というニーズに応えるためだと強調する。これが「LinkBuds」と名付けた理由でもあるようだ。
中村氏によると、昨今のリスニングスタイルは「若者を中心に『ながら聴き』への関心が高まっており、音を聞く時間が長くなる傾向にある」という。そのため、この製品のメインターゲットは20代半ば(いわゆる「Z世代」の後期)であるという。加えて、ビジネスツールとして30〜50代のビジネスマンもサブターゲットに位置付けて訴求を行うようだ。
さらに、中村氏は「音楽ストリーミング市場が継続拡大し、オーディオ製品の利用スタイルも多様化している」と語る。確かに、音楽の聴き方は年々変わってきている。特定の楽曲がどれくらい聴かれているのかを示す指標は「CDが何枚が売れたのか」ではなく「ストリーミングサービスで何回再生されたのか」に移り変わっている。
こうした背景を踏まえて、LinkBudsにはながら聴きに最適な機能として「ワイドエリアタップ」機能を搭載している。本体か耳の周辺を2回または3回素早く(0.2秒間隔で)タップするだけで操作できるため、わざわざスマホをポケットやカバンから取り出せずに済むわけだ。
ソニーによると、センサーで耳に近い部分の振動を検知しているものの、微細な振動により意図しない誤操作につながることはないという。どうしても「誤動作するのではないか」と気になる場合は、アプリでこの機能をオフにできる。
さらに、LinkBudsだけでSpotifyの楽曲を再生したり、プレイリストを切り替えたりできる「QuickAccess」機能も実装している。これも「ながら聴き」に欠かせないという。
この他、LinkBudsには以下の便利機能を搭載している。
- 周囲の騒音レベルに合わせて自動で再生音量を調整する「アダプティブボリュームコントロール」
- 声を発することで自動で再生中の音楽を停止/消音できる「スピーク・トゥ・チャット」
- 「Google アシスタント」(※1)または「Amazon Alexa」を使った音楽再生やニュースの確認
- ペアリングモードにしたLinkBudsをAndroid端末に近づけると簡単にペアリングできる「Google Fast Pair」(※2)
- ペアリングモードにしたLinkBudsをWindows 10/11を搭載するPCに近づけると簡単にペアリングできる「クイックペアリング」(※3)
(※1)iOS/iPadOS版アプリは非対応
(※2)Android 6.0以降のAndroid端末で利用可能
(※3)Windows 10の場合は「バージョン1803(April 2018 Update)」以降のバージョンで利用可能
バッテリー持ちは単体で最長5時間半 その代わりに小型軽量化を果たす
バッテリーによる連続稼働時間は、LinkBuds単体で最長5時間半、充電ケース併用で最長17時間半となる(いずれもコーデックは「AAC」、DSEEとイコライザーは「オフ」、他の設定は初期設定のままである場合)。
「少し稼働時間が短くない?」と思うかもしれないが、その分だけ本体とケースはコンパクトになっている。WF-1000XM4と比べると、本体のサイズは約51%、ケースのサイズは約26%削減されている。2022年2月時点では、ソニーの完全ワイヤレスイヤホンとしては最小かつ最軽量だという。
環境にも配慮し、ソニーのヘッドフォン製品としては初めて、本体とケースの外装部分に再生素材を採用した。ただし、生産時期によって使用部品に再生プラスチックが使用できない可能性があるという。
オンラインと現実世界を結びつける製品
ここまでお伝えしたように、とても小さくアイコニックな形状のLinkBudsは、初見だと“キワモノ”な印象を持ってしまうかもしれないが、開放型かつ耳をふさがない構造が差別化要素となるだろう。
それに加えて、ソニーは音楽・映像でヒット作を創出しているだけに、オンラインと現実世界を結びつける、新たなサウンドゲートウェイとしての価値がLinkBudsにはあると感じた。
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