南海フェリーが「Visaのタッチ決済」の実証実験を実施 南海電車との乗り継ぎで割引を自動適用
和歌山港と徳島港を結ぶ南海フェリーにおいて、Visaのタッチ決済を使った乗船の実証実験が実施される。親会社の南海電鉄で先行して行われている同種の実証実験とも連携しており、割引乗車券と同等の効力を持つ乗り継ぎ割引も提供される。
南海電気鉄道(南海電鉄)、南海フェリー、三井住友カード、QUADRACとビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)は3月25日から12月11日まで、南海フェリーが運営する和歌山港(和歌山県和歌山市)~徳島港(徳島県徳島市)のフェリー航路において「Visaのタッチ決済」による乗船の実証実験を実施する。Visaのタッチ決済を使って乗船できる航路(旅客船)は日本で初めてだという。
実証実験の概要
今回の実証実験では、和歌山港と徳島港のフェリー乗船口にNFC読み取り端末を設置し、Visaのタッチ(コンタクトレス)決済を利用できるようにする。Visaのタッチ決済は徒歩で乗船する場合のみ利用可能で、自動車やバイクなどの航送を伴う場合は利用できない(事前に窓口などで乗船券を購入する必要がある)。
実験に参加するには、タッチ決済に対応するVisaカード(クレジット、デビット、プリペイドのいずれも可)が必要となる。事前の申し込みは不要だ。カードの発行会社が「Apple Pay」「Google Pay」に対応していれば、NFC対応のスマートフォンやスマートウォッチでも利用できる。
運賃は通常の大人旅客運賃(税込み2200円)だが、南海電鉄の鉄道路線(南海電車)との乗り継ぎ割引も用意される(詳細は後述)。
カードの発行会社が対応していれば、Apple Pay(左)やGoogle Pay(右)に対応するスマートフォンやスマートウォッチでも利用できる。画面上のカード券面にVisaロゴがあるかどうかが一応の目安になる
前売りなしで南海電車⇔南海フェリーの割引を提供
南海フェリーの親会社である南海電鉄では、2021年4月3日から南海電車の一部駅においてVisaのタッチ決済による乗車の実証実験を行っている。
南海フェリーでも実証実験が始まることを受けて、フェリーへの乗り継ぎ駅となる和歌山港線の和歌山港駅(和歌山県和歌山市)が3月25日から実証実験の対象駅に加わる。同日からは、高野線の中百舌鳥駅(なかもず駅:堺市北区)も実証実験の対象駅となる。
また、今回の実証実験開始に伴い、南海電鉄と南海フェリーは3月25日から新しい乗り継ぎ割引「スマート好きっぷ(すきっぷ)」を提供する。
この割引は割引乗車券「好きっぷ(とくしま好きっぷ)」と同等のもので、Visaのタッチ決済で当日中に南海電車と南海フェリーを乗り継ぐ人を対象に適用される。事前の手続き(購入)は必要ないが、同じカードを使って乗り継ぐことが条件となる。
スマート好きっぷが適用されると、南海フェリーの大人旅客運賃と同額(2200円)で南海フェリーに加えて南海電車にも乗車できる。例えば、高野山ケーブルカー(鋼索線)の高野山駅(和歌山県高野町)を発着駅とする場合、同駅~和歌山港駅間の運賃(1860円)が割引(無料)となる。
ただし、好きっぷとは異なり、スマート好きっぷはVisaのタッチ決済に対応する駅を発着駅としなければならない(好きっぷは南海電車の全駅を発着指定できる)。この点には注意しよう。
南海電車におけるVisaのタッチ決済対応駅(参考)
- 南海線
- なんば駅
- 新今宮駅
- 天下茶屋駅
- 堺駅
- 泉大津駅
- 和歌山市駅
- 和歌山港駅(3月25日から)
- 南海空港線
- りんくうタウン駅
- 関西空港駅
- 高野線/高野山ケーブルカー
- 堺東駅
- 三国ヶ丘駅
- 中百舌鳥駅(3月25日から)
- 金剛駅
- 河内長野駅
- 橋本駅
- 九度山駅
- 高野下駅
- 高野山駅
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