自宅での固定回線代わりになる? 通信制限が緩和された「WiMAX +5G」を徹底的に試してみた:5分で知るモバイルデータ通信活用術(2/2 ページ)
2月1日から通信制限が緩和されたUQコミュニケーションズの「WiMAX +5G」。本当に自宅の固定インターネット回線代わりに使っていいものかどうか、自宅の光回線とつなぎ替えて“いつも通り”に使うことで検証してみましょう。
それでも「力不足」を感じる場面はある
自宅の固定インターネット回線の代わりにWiMAX +5G回線を使うのは、思った以上に実用的……なのですが、それでも力不足を感じるシーンが2つあります。
1つは、動画や写真を大量にアップロードする場面です。先述の通り、WiMAX +5Gはダウンロードは速い一方で、アップロードが遅いという欠点を抱えています。クラウドストレージの利用など、多数あるいは大きなデータをアップロードする機会の多い人は、できる限り固定インターネット回線の導入を検討した方が良いと思います。
もう1つは、同時に複数のデバイスでデータ通信を行う場面です。
ある日、筆者のPCではテレワーク、子どものタブレットではオンライン学習のためのWeb会議アプリ、Fire TV Stickでは動画のストリーミング再生を同時に行っていました。ここまでは何の問題もなかったのですが、この状態でスマートスピーカーにコマンドを送ったり、「Radikoアプリ」でラジオのストリーミング再生をしたりしようとするとタイムアウト(応答が遅すぎるためのエラー)が発生することがありました。
要するに、連続した大きめのデータ通信を行っている際に別のデバイスからインターネットにアクセスをしようとすると、応答が異様に遅れてしまうことがあるのです。これは、普段の光回線では発生しない現象です。
ちなみにこの状態でも、Fire TV Stickでのストリーミング再生で「遅すぎてバッファが間に合わない」ということはないのですが、読み込みが突然止まるという事象がまれに発生しました。これも普段の光回線では起こりません。
Google Nest Hubで「電気つけて」と話しかけた図。普段ならこれで照明がすぐに付くのですが、別のデバイスが大きめのデータを連続してやりとりしていると、応答が遅れたり、遅れすぎてエラーになったりすることがありました
これらの問題は、WiMAX +5Gの電波環境が良くなって、実効通信速度が改善すれば解消する可能性もあります。ただ、インターネット通信にある程度の「安定性」や「信頼性」を求める場合も、固定回線を導入することをできる限り検討すべきだと思います。
ただし「集合住宅の固定回線が遅くて耐えられない」「建物の物理的な条件で固定回線を導入できない」といった人にとって、WiMAX +5Gは新しい“福音”となったことは間違いありません。
WiMAX +5Gホームルーターは持ち運べる(au契約を除く)
WiMAX +5Gに対応するホームルーターのメリットの1つとして、利用場所を問わないというメリットがあります(auの「ホームルータープラン 5G」を除く)。今回の検証では、旅行先にL11を持って行って使う検証も行いました。
ホームルーターは、自宅や事務所での据え置き利用が前提です。そのため、モバイルルーターと比べると本体は大きく、電源アダプターも専用のものを使うことになります。そのため、本来であれば持ち運びには適しません。
しかし、本体が大きい分、モバイルルーターよりも高感度のアンテナを搭載しやすいため、モバイルルーターでは通信が不安定になる場所でも安定した通信を行えることがあります。これはモバイル通信だけでなく、Wi-Fi通信でも同様です。
旅先では、天候不良などによって外出することが難しい状況になることもあります。安定するインターネット接続を得られるとも限りません。滞在先でも自宅と同じようにインターネットを楽しめる環境を整えるべき――これが筆者の持論。だからこそ、ホームルーターを持ち運ぶのです。
UQの「WiMAX 2+」は、都市部以外において通信品質が良くなかったり、そもそも「圏外」だったりすることも良くありました。au 4G LTEエリアも利用できる「ハイスピードプラスエリアモード」を併用すればこれらの問題を解決できるものの、利用した月は1100円の追加料金が掛かる上(契約条件によっては無料)、月間7GBの通信容量制限が設けられています。
それに対して、WiMAX +5Gでは「スタンダードモード」でもau 4G LTE/au 5Gの一部エリアを無料で利用できる他、エリアカバーを広げる「プラスエリアモード」における通信制限がスタンダードモードに影響しなくなりました。スタンダードモードはau 4G LTEのメイン帯域である800MHz帯を利用できないものの、それでもWiMAX 2+よりもエリアが広いため、実用性が増しています。
ホームルーターであれモバイルルーターであれ、WiMAX 2+を利用しているユーザーはWiMAX +5Gにするだけでストレスが相当に減ると思います。乗り換えを前向きに検討してみましょう。
関連記事
「3日間15GB」の速度制限を撤廃したWiMAX +5G 本当に制限は掛からない?
UQコミュニケーションズの「WiMAX +5G」において、2月から定量的な通信容量制限が撤廃され、制限に抵触した場合も混雑しない限りは通信速度制限を掛けなくなったそうです。本当に制限は掛からないのでしょうか? 過去の制限を振り返りつつ、実際に試してみることにしましょう。UQコミュニケーションズが「WiMAX +5G」の通信制限ポリシーを一部変更 大量通信ユーザーにおける混雑時間帯の制限を弾力化
UQコミュニケーションズの「WiMAX +5G」が、当日を除く直近3日間で15GB以上通信した場合の通信速度制限について、具体的なしきい値の設定と、しきい値超過時の一律適用を撤廃することになった。ただし、短期間で大量に通信した場合における速度制限の可能性が無くなるわけではないため気を付けよう。UQ、WiMAX 2+の速度制限を緩和――「3日で3GB」から「3日で10GB」に
UQが、WiMAX 2+の3日間の速度制限を緩和する。データ通信量は「3日で3GB」から「3日で10GB」に、制限時間は「翌日13時頃~翌々日13時頃(24時間)」から「翌日18時頃~翌々日2時頃(8時間)」とする。持ち運べる喜びを――ホームルーターをUQ WiMAX+5Gとpovo2.0で使ってみた
大手キャリアが相次いでリリースした5G対応のホーム(ワイヤレス)インターネットサービスは、利用できる場所に制限が掛かっています。一方で、UQコミュニケーションズの「WiMAX+5G」には設置場所制限がありません。持ち運んで使うついでに、povo2.0でも使ってみることにしました。【訂正】「家で使う」5Gルーターを選ぶポイントは? UQ、au、ドコモのサービスを比較
NTTドコモが「home 5G」をリリースしたことで、5G通信に対応するワイヤレスホームルーターに注目が集まっています。UQコミュニケーションズ、au、ドコモのサービスを簡単に比較してみましょう。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.