もっとお得に“データ使い放題”サービスを mineoに聞く「マイそく」提供の狙い:MVNOに聞く(3/3 ページ)
5Gの普及に伴い、大手キャリアでは使い放題の料金プランも徐々に浸透している。そんな中、オプテージのmineoが、新たな切り口の料金プラン「マイそく」を提供した。マイそくは、データ容量ではなく、通信速度別に「スタンダード」と「プレミアム」の2種類に分かれる。
音声定額は、3キャリアとも専用アプリなしで利用できる
―― 次に音声通話定額のお話を伺えればと思います。確認ですが、これは3キャリアの回線全てでオートプレフィックスを入れたということですよね。
福留氏 はい。トリプルキャリアで、専用アプリを使うことなくご利用いただけます。キャリアごとにオートプレフィックスの対応時期が異なっていたので、3社全てが完了する3月からの開始となりました。順次リリースしていくことも考えたのですが、お客さまによっては災害時の対策として、家庭内で複数キャリアに回線を分散させているケースがあります。回線ごとに対応状況が異なるのは混乱を招く恐れがあるので、3月まで待つことにしました。
―― ドコモ回線でオートプレフィックスは他にもありますが、auやソフトバンクも含めてというのは初めてではないでしょうか。
福留氏 トリプルキャリアで専用アプリなしで適用されるというのは、当社が初だと思います。
―― アプリの「mineoでんわ」は残るんですね。
福留氏 引き続き、30秒10円でおかけいただけるサービスは、mineoでんわで継続します。
―― なぜ、あえて残すのでしょうか。
福留氏 実はmineoでんわの提供事業者と、オートプレフィックスの提供事業者が違うからです。ただ、さまざまな声を伺うと、従量料金の値下げより、かけ放題の値下げを望む声の方が圧倒的に多かったということもあります。そのため、従量料金については、引き続きmineoでんわをご利用いただければ30秒10円になるという形にしてあります。
新規申し込みも解約も増えており、契約数は横ばい
―― 昨年、いち早くマイピタを導入されましたが、その後、MNOはもちろん、MVNO各社も新料金プランを導入して、競争環境は大きく変わったと思います。その後の状況はいかがでしたでしょうか。
福留氏 MNOのメインブランドやサブブランド、MVNO各社から新料金プランが発表され、モバイル市場における競争は激しくなっています。また、MNOからも、われわれが得意としていた低容量、低価格の領域のプランが出てくるようになりました。例えば、3GB、990円といったメニューがそれです。その結果として、MNOとMVNOの境界線がなくなりつつあると認識しています。
一方で、市場の流動性が高まったのはわれわれにとっても追い風です。昨年は2月にマイピタを開始しましたが、開始以降、申し込み数はそれ以前と比べて1割から2割ぐらい増えています。あくまで獲得数に限った話ですが、昨年度よりも増加はしています。要因としては、マイピタやパケット放題Plusが多くの方に受け入られていることがあります。
ただし、流動性が高まったため、解約数も昨年度より増えています。結果として契約者数で言えば、激しい競争の中にありながら、特段大きな変化がなく維持ができています。現在の契約者数は120万弱で、そのうち80万がマイピタに入られています。昨年は多数の外部評価機関からも、総合満足度やおすすめ度で1位をいただきました。お客さまにはご満足いただけていると考えています。
―― 獲得が増えたということは、流出を止めると契約者数が伸びそうです。MNOの場合、こういったパターンではセット割等で解約率を抑えにくるのがセオリーだと思いますが、何かそのような手は考えられていますか。
福留氏 これだけ激しい競争なので、競争戦略に応じて、使い勝手のいい独自のサービスを追求していくことが重要になります。サービスの同質化が進んでいるという認識もあるため、引き続きお選びいただくためには、他社にないサービスを提供することが必要になります。
セット割に関しては、関西域内ではeo光とのセット割をやっていますが、域外での提供予定は今のところありません。電気とのセット割についても予定はありませんが、これは個人的に検討したいと思っています。
取材を終えて:解約抑止が成長の鍵に
2021年、MVNOの先陣を切ってマイピタを導入したmineoだが、データ容量別という点では、既存の料金体系の延長線上にあるプランだった。これに対し、マイそくは、データ容量を無制限にする代わりに、速度に料金をつけているところが新しい。使い放題が当たり前の時代に、MVNOがどう生き残るかを考えたプランと言えそうだ。
3キャリア分の回線でまとめてオートプレフィックスを導入できたのも、トリプルキャリアにこだわるmineoならではだ。新サービスのパスケットも含め、オプションの多さではしっかり差別化が図れている。一方で、競争が激化したことで、契約数は横ばい。セット割は考えていないというが、解約抑止が今後の成長の鍵になりそうだ。
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