KDDIとソニーが「5G SA」の技術検証 デモで分かったゲーム体験の違い(2/2 ページ)
KDDIとソニーは、次世代通信技術「5G SA」を活用したゲームストリーミング技術の実証実験を公開した。実証実験では、5G SAのPSリモートプレイに特化したスライス(仮想的な専用回線)を作成。混雑する5Gエリアでも、PS5/PS4のリモートプレイを快適に実施する様子を見られた。
auの5G SAはどんなサービスになる?
KDDIは2021年夏以降に5G SAのコンシューマー向けサービス開始を予告している。ただし、具体的なサービス内容は明らかにしていない。この点について、KDDIの泉川晴紀氏(事業創造本部 次世代基盤整備室長)は、「ご加入者ごとに適用したり、サービスに特化した形にしたり、さまざまな形態が考えられる。商用提供に向けての検討は技術開発と並行して行っている」と話した。
一案としては、auの5Gサービスの月額料金に上乗せで支払うと、ゲーム向け通信を安定して行える中で「ゲーム通信オプション」のようなものが考えられる。また、PlayStation Nowのようなクラウドゲームサービスを利用している人に対して、サービスに最適化した通信サービスを提供するという方式もあり得る。実際にゲームをプレイする人にとって価値があると感じる提供方法の検討が、普及のカギとなりそうだ。
また、今回の実証実験はXperiaスマートフォンとPlayStationシリーズを展開するソニーと、auサービスを提供するKDDIの2社が協力して実施しているが、両者の連携はあくまで技術検証にとどまっており、両者が共同でゲーム向けサービスを提供する計画はないとしている。
ソニーのゲーム部門においてはKDDIとの実証実験で得た知見を基にPSリモートプレイやPlayStation Nowのクラウドゲーミングサービスを改良していくことになる。5G SAネットワークの高度化が進めば、リモートプレイでの4K/120fps対応なども現実味を帯びてくるだろう。
5G SAの対応端末はどうなる?
5G SAサービスの展開にあたっては、スマートフォン側の対応状況も気になるところだ。auの現行の5Gスマートフォンは公式には全て5G NSAのみ対応とされており、5G SAへの対応の有無は明らかにされていない。
ただし、5G SA向けの新サービスを利用したい場合に、必ずしも5G NSA対応スマートフォンから買い換えが必要になるわけではなさそうだ。例えばiPhone 12シリーズは中国キャリアの5G SAサービスへ接続可能な仕様となっている。
また、今回のデモンストレーションにおいては、au版の「Xperia 1 III」を5G SA対応に“改造”し、試験機として活用していた。改造といってもハードウェアはそのままで、内部のソフトウェアの書き換えのみで対応できたとしている。
こうした状況から、現行のau 5Gスマートフォンでも、一部はソフトウェアアップデートで5G SA対応を実現できる可能性がある。ただし、ソニーの担当者によると「5G SA対応による検証や新たな認証の取得などが必要となる」としており、一定の費用がかかる対応となるようだ。KDDIでは5G SAサービスに対応する予定の機種を公表していないが、既存の機種での対応も前向きに検討しているという。
関連記事
KDDI、5G SAでプレイステーションのゲームストリーミングと8K映像の配信に成功
KDDIとソニーは、5Gスタンドアローン環境でプレイステーションのゲームストリーミングとリアルタイムの8K映像配信の技術検証に成功。検証結果は「SPACE SHOWER MUSIC AWARDS 2022」での活用を予定している。KDDIが「5G SA」商用化、AbemaTVの中継で活用 個人向けは22年夏以降
KDDIは2月21日、法人向けに5G SA(スタンドアロン)方式のモバイル通信サービスの提供を開始した。21日にAbemaTVで配信された番組で5G SAの商用ネットワークを活用した生配信を実施する。個人向けサービスは2022年夏以降をめどに提供予定としている。富士通ら、オープンな5G SA仮想化基地局のデータ通信に成功
KDDI、サムスン電子、富士通が、商用ネットワークへ接続するオープン化した5G SAの仮想化基地局でのデータ通信に成功。迅速なソフトウエア展開や汎用性のある機器の利用が可能になるという。「鉄道路線5G化」で5Gエリアを急速に広げるKDDI “パケ止まり”対策でも先行
KDDIは東京の山手線全30駅および大阪の大阪環状線全19駅のホームに5Gの基地局を設置。同社は、利用者の導線に沿った5Gのエリア化を行っており、人口カバー率が90%に達する2021年度末までには、関東21路線、関西5路線に5Gを拡大していく予定だ。大手3社のエリア展開の方針を振り返りつつ、鉄道を中心に5Gのエリア化を進めるKDDIの狙いに迫る。「Xperia 1 III」を1カ月間使って感じた「魅力」と「不満」
ドコモ版「Xperia 1 III」(SO-51B)を発売日の7月9日に手に入れてから、1カ月使い続けてみた。独立したシャッターボタンと独自アプリを使ったカメラ機能は魅力で、UVC規格を使えば外部ディスプレイやデジカメとも接続できる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.