「HUAWEI Mate X2」の生まれ変わり? Honorの折りたたみスマホ「HONOR Magic V」:山根康宏の海外モバイル探訪記
中国で今、最も勢いがある印象のHonor。もともとHuaweiのサブブランドだったが、2021年第4四半期の中国国内スマホ出荷量は国内メーカーで1位となった。同社初の折りたたみスマホ「HONOR Magic V」を紹介する。
中国で今最も勢いのあるメーカーがHonorです。もともとはHuaweiのサブブランドでしたが、2020年11月に分離して独立したメーカーとなりました。2021年第4四半期の中国国内スマートフォン出荷量シェアではわずかな差で国内メーカー1位になるなど(総合ではApple1位、Honorは2位)、Honorの出すスマートフォンは中国で売れまくっています。
2022年1月には同社初の折りたたみスマートフォン「HONOR Magic V」を発売しましたが、これも中国で大きな人気となっています。予約台数だけでも100万台を越えたそうです。
HONOR Magic Vは自社の顔となるモデルらしく、プロセッサはSnapdragon 8 Gen 1を搭載しています。ディスプレイのサイズは開いたときが7.9型、2272×1984ピクセル、リフレッシュレートは90Hzに対応します。
裏側にはカメラが3つ搭載されています。それぞれ5000万画素で、カメラスペックもかなり高くなっています。
閉じたときは6.45型、2560×1080ピクセルのディスプレイが現れます。こちらの外ディスプレイは120Hzとより高速なリフレッシュレートに対応。インカメラはシングルですが4200万画素と高解像度です。
閉じたときに隙間が無いのも特徴です。最近の中国メーカーの折りたたみディスプレイは、どれもこのデザインを採用していますね。なおカメラ部分はやや出っ張っています。
ヒンジ側には特に何の表記もありません。個人的にはここにメーカー名か製品名が彫り込まれていたらカッコいいと思うのですけどね。なおヒンジの隙間は防水処理はされていないようで、防水防塵(じん)は非対応のようです。
さて、折りたたみディスプレイで気になるのは、ヒンジ部分のディスプレイの折り目です。HONOR Magic Vには折り目は見られず、L字型にたたんだときも滑らかに曲がってくれます。ヒンジの内側に隙間を作り、ディスプレイを曲げたときにその空間に曲げ部分を逃がす「Ultra slim floating waterdrop hinge」構造を採用したために、隙間も折り目もない折りたたみディスプレイを実現しているのです。
本体カラーは落ち着いたブラック、金属の質感をイメージさせるシルバー、レザー調のオレンジと3色3様の仕上げになっています。価格は9999元(約19万円)からと高価ですが、ディスプレイサイズや折り目のない仕上げ、そして高性能なカメラを搭載していることを考えると妥当でしょう。
ところでHonorのスマートフォンに人気があるのは、HuaweiのMateシリーズに類似したデザイン、性能の製品を出していることも理由の1つと思われます。もともと同じ会社でしたし開発者も多くが移動しているのでそれは当然のことなのでしょう。Huaweiは新製品の数が減っており、しかも5G対応端末を出せていません。そのためHuaweiロスのユーザーがHonorを買っているというところもあるでしょう。
HONOR Magic Vも、Huaweiの折りたたみ「HUAWEI Mate X2」の後継モデルが出てきていない状況から、Mate X2ユーザーの乗り換え先や、Mate X2を買えなかった人たちからも注目を集めそうです。Huaweiから「Mate X3」の登場が期待できそうにないだけに、HONOR Magic Vは中国国内でかなり売れそうです。
なお、本記事の写真はITジャーナリスト富永彩乃氏(@ayanotdo)に依頼し、MWC Barcelona 2022で撮影してもらいました。
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