MWC 2022で存在感を示したHonorとRealme 急成長で上位メーカーと肩を並べる存在に:山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)
2022年のMWCでは「新顔」とも呼べる2つのメーカー、HonorとRealmeが存在感を大きく示していた。Honorはカメラ強化の新製品Magic4シリーズを発表した。Realmeは、Snapdragonの上位プロセッサを搭載した「Realme GT2」シリーズを欧州でも投入する。
毎年2月にスペイン・バルセロナで開催されるMWC Barcelonaは世界最大の通信関連のイベントだ。新型コロナウイルスの影響により、2020年は会期直前に中止となり、2021年は6月に開催されたものの規模は大幅に縮小された。2022年は出展企業の数はまだ完全に戻ってはいないものの、バルセロナでの開催が3年ぶりに復活。大手スマートフォンメーカーもほぼ全社が出展するなど、久しぶりに活気のあるイベントになったようだ。
世界中のメディア関係者も集まるMWCはスマートフォンメーカーにとって新製品を大きくアピールできる場でもある。Samsungは数年前からMWCの会期前に独自に新製品発表会を開催し、MWCではそれら新製品を大々的に展示。またHuaweiやXiaomiもMWCの会期に合わせて新製品を発表してきた。しかし2022年のMWCでは「新顔」とも呼べる2つのメーカー、HonorとRealmeが存在感を大きく示していた。
Honorはカメラ強化モデル「Magic4 Pro」を発表
Huaweiから独立して約2年のHonor(オナー)は、MWCでカメラ強化の新製品Magic4シリーズを発表した。HonorはMWCには出展ブースは持たず、イベントスペースでの新製品発表会のみの参加だ。Huaweiから分離した直後はどのような製品展開で生き残りを図るのか注目されたが、同社は今や中国市場でしっかりとメジャーメーカーの仲間入りを果たした。
カウンターポイントの調査によると、2021年第4四半期に中国市場でのHonorの出荷台数はvivo、OPPO、Xiaomiを抜き、Appleに次ぐ2位となった。Honorは2021年に入ってから四半期ごとに出荷台数を増やしている。毎年新製品発表直後だけ急激に数を伸ばすAppleの動きを除外すれば、この1年で大手3社と横に並ぶ「中国トップメーカー」と呼べる存在にまで成長したのだ。
Magic4シリーズの上位モデル「Magic4 Pro」はカメラ性能を高めた期待の製品だ。メインカメラは5000万画素広角で、5000万画素超広角と6400満画素ペリスコープ式望遠(3.5倍、デジタル100倍)を加えたトリプルカメラに、深度測定とフリッカー測定を加えた5眼構成となっている。また、充電は有線100Wに加え無線も100Wに対応し、4800mAhのバッテリーを15分で50%充電できるとのこと。プロセッサはSnapdragon 8 Gen 1を採用し、価格は1099ユーロ(約14万2000円)。他社のフラグシップモデルと比べても遜色のない性能であり、SamsungやAppleの製品と互角に戦えるだけの製品に仕上がっている。
Honorは2022年1月に同社初となる折りたたみスマートフォン「MagicV」も中国で発売した。海外市場への投入は未定だが、先進国に投入すればHonorのブランド力や認知度を一気に高める同社の顔となる製品になるだろう。Huaweiが不在となったグローバル市場で、今後Honorが入れ替わるように高い存在感を示すようになるかもしれない。MWCにおけるMagic4の発表は、Honorが2022年にグローバル展開を大きく広げるという意思表示のようにも感じられた。
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