MWC 2022で存在感を示したHonorとRealme 急成長で上位メーカーと肩を並べる存在に:山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)
2022年のMWCでは「新顔」とも呼べる2つのメーカー、HonorとRealmeが存在感を大きく示していた。Honorはカメラ強化の新製品Magic4シリーズを発表した。Realmeは、Snapdragonの上位プロセッサを搭載した「Realme GT2」シリーズを欧州でも投入する。
深澤直人氏デザインの「Realme GT2」シリーズを発表したRealme
低価格スマートフォンを中心に展開し、新興国だけではなく先進国でも徐々に頭角を示しているRealmeもMWCで製品展示と技術の発表を行った。Realmeは2021年第4四半期にインド市場でSamsungを抜いて2位に浮上、グローバルでも10位以内に入るなど着々と出荷量を伸ばしている。Realmeが得意とするのは若い世代向けの製品であり、ライバルはXiaomiのRedmiやOPPOのAシリーズとなる。またSnapdragon上位モデルを搭載したゲーミングモデル「GT」シリーズも人気製品だ。
MWC 2022でRealmeが大々的に展示していたのはRealme GT2シリーズ。中国では既に1月に発表されたモデルだが、3月15日に欧州で発売されることが改めてアナウンスされた。上位モデル「Realme GT2 Pro」はSnapdragon 8 Gen 1、下位モデル「Realme GT2」はSnapdragon 888を搭載しており、5000万画素カメラも搭載する。しかし特筆すべきは本体性能だけではない。デザイン設計にINFOBARのデザイナーでおなじみの深澤直人氏を採用している点に注目が集まっている。
Realmeは欧州市場でも着々と人気を高めている。ストラテジー・アナリティクスの調査によると、2021年の欧州でのシェアは3%と低いながらも、前年からの成長率は548%という驚異の伸びを示した。コストパフォーマンスの高いモデルを次々と投入した成果が現れた格好だが、価格競争だけでは今後の生き残りは難しい。
欧州ではOPPOのシェアが5%、前年比77%の伸びとRealmeほどではないものの好調だ。同社は価格ではなくブランドを前面に出した製品展開をしており、高性能なカメラフォンなども投入することで技術力の高さもアピールしてきた。低価格モデルを強みにしているXiaomiの後塵を拝しているものの、ユーザーを着々と増やしている。OPPOは長期的な戦略で欧州市場に攻め入っているのだ。Realmeが目指すべきはXiaomiではなく、OPPOと同じ道を歩むことだろう。
Realme GT2シリーズは背面にバイオポリマー素材を採用し、石油をベースとした樹脂素材と比較して製造時の二酸化炭素排出量を35.5%減少できるという。また表面は紙のような肌触りに仕上げた。パッケージもリサイクル可能な素材を多用し、プラスチックの利用を27.1%からわずか0.3%に引き下げている。欧州の消費者は環境問題に対しての意識が強いだけに、Realme GT2シリーズは同社のイメージアップにつながるはずだ。
RealmeはMWC 2022で新しい高速充電システム「Ultra Dart充電アーキテクチャ」も発表した。これは100Wから200Wまでの、より高い電力の充電に対応する。スマートフォンを高速充電するとバッテリーの発熱が問題となるが、Ultra Dartは43度以下の温度になるように充電速度を自動的に制御することを可能としている。Realmeは現在18Wから65Wに対応したDart充電システムを実用化しており、一般的なスマートフォンを35分で満充電できる。それに対し、Ultra Dartでは電池残量ゼロから50%までの充電時間を5分にすることを目標としている。
RealmeはUltra Dartに対応したスマートフォンとして150Wの充電に対応した「Realme GT3」を開発中だ。Ultra Dartは充電器があればモバイルバッテリーを持ち運ぶ必要もなくなるため、こちらも環境にやさしい技術といえる。
HonorもRealmeもグローバルイベントで発表できるだけの製品や技術を開発する力を持っているのだ。2023年のMWCで両社は会場のメインエリアに大きなブースを構え、魅力的な展示を大々的に展開していることだろう。
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