aiwaデジタルは“ごく普通の格安スマホ/タブレット”からどう差別化を図るのか:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
ジェネシスが発表した第1弾の「aiwaデジタル」製品は、スマートフォン、スマートウォッチ、PCともにエントリーモデルが中心。第1弾の製品群はあくまでショーケースに近い位置付けで、どちらかというとB2Bでの比率が高いとみているようだ。コンシューマーの比率を高めていくのは、“aiwaデジタルらしさ”を出した第2弾以降の製品になる。
スタートアップのアイデアや技術を取り入れる差別化戦略
オーディオやデザインの強化は、他のメーカーでもできそうなことだが、よりジェネシスらしいのが、スタートアップとの協業だ。ジェネシスは、製造受託企業としてさまざまな企業が企画した製品の量産化を担ってきた。ソースネクストが発売し(現在はポケトークに分社化)、大ヒットを記録した翻訳機の「ポケトーク」はその1つだ。紛失防止タグの「MAMORIO」も、ジェネシスが製造を手掛ける。
こうしたスタートアップの技術やアイデアを、aiwaデジタルの製品に取り入れていく。その第1弾として、スマートフォンには「MAMORIO」のアプリを内蔵し、紛失時の発見を容易にする。Androidには、GPSや基地局の情報で位置を特定する機能が搭載されているが、公共交通機関に専用アンテナを展開しているMAMORIOであれば、より詳細な場所が正確に分かる。
スマートフォンやタブレットとは少々分野は異なるが、誰でも簡単に楽器を弾けることを売りにした「InstaChord」のaiwaデジタル版も発売する。音楽というつながりがあるだけに、aiwaデジタルとの相性はよさそうだ。この取り組みが成功すれば、そのアプリ版をスマートフォンやタブレットに内蔵するなど、別の切り口での協業も可能になるかもしれない。
他にも、ジェネシスが製造を担った製品の中には、ポケトークやAIボイスレコーダーの「AutoMemo」(ソースネクスト)など、その機能の一部をスマートフォンやタブレットに落とし込みやすそうなものは少なくない。IoTに特化したMVNOのソラコムとも、SIM内蔵エッジAIカメラ「S+ Camera Design」で協力関係にある。eSIMで同社の回線を活用し、海外で安価に利用できるスマートフォンを開発するといったことも不可能ではないだろう。
MAMORIOやInstaChord以外の話は、あくまで筆者が考えた例の1つにすぎない。ただ、コラボレーションの範囲を広げていければ、他社のスマートフォンやタブレットにはない機能を備えた端末を開発できる可能性を秘めていることも確かだ。第1弾はごく普通のエントリーモデルが中心だったaiwaデジタルだが、狙い通りコストパフォーマンスの高い中国メーカーに対抗するには、こうした差別化が不可欠になりそうだ。
関連記事
「aiwaデジタル」の製品発表 1万円台のスマホやタブレット、5000円台のスマートウォッチなど
JENESISが8月24日、「aiwaデジタル」ブランドのスマートフォン、タブレット、Windows PC、スマートウォッチを発表した。公式オンラインストアで1万6800円(税込み)のスマートフォンやタブレットを投入。血中酸素濃度も測定できるスマートウォッチは5800円。“裏方”のJENESISがなぜ「aiwa」ブランドのスマホを出すのか 日本市場での勝算は?
JENESISがアイワからライセンスを取得し、aiwaブランドを冠したスマートフォンやタブレットを8月に発売する。JENESISは深センに拠点を持つことを強みに、これまでもさまざまな製品の開発を裏方として支えてきた。スマートフォンやタブレットが成熟期を迎える中、なぜJENESISはaiwaブランドを引っ提げ、表舞台に立とうとしているのか。新生「aiwaデジタル」誕生 8月にAndroidスマホ/タブレット、スマートウォッチを投入
JENESISが6月29日、オーディオメーカーのアイワから「aiwa」ブランドのデジタル分野における商標使用権を取得したことを発表した。2022年8月(予定)から、新生「aiwaデジタル」シリーズの製品を順次販売する。第1弾商品として、フラグシップのAndroidタブレット、スマートフォン、スマートウォッチを投入する。本社と2年がかりで実現 モトローラが「moto g52j 5G」でおサイフケータイ対応を果たせた背景
モトローラがオープン市場で発売した「moto g52j 5G」は、待望のおサイフケータイに対応した。一般的に、おサイフケータイや防水・防塵に対応すると、そのぶんだけ製造コストは上昇するが、3万9800円という価格を実現した。なぜ、このような価格でmoto g52j 5Gを発売できたのか。また、moto g52j 5Gは日本でのラインアップの中で、どう位置付けられているのか。ヒットする条件が整った「OPPO Reno7 A」 それでも“長く使う”上で気になる2つの課題
オウガ・ジャパンは、OPPOブランドの最新モデル「OPPO Reno7 A」を、6月23日に発売する。Reno Aシリーズの売りともいえる、サイフケータイや防水・防塵などの日本仕様は網羅している。一方で、Reno7 Aは、機能やスペックが“進化しただけでなく、日本市場に向けたローカライズも“深化”している。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.