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総務省で携帯電話の「非常時ローミング」の議論が始まる 12月下旬に方向性を取りまとめへ(1/3 ページ)
自然災害や設備故障による通信障害が相次いだことから、総務省において非常時の「事業者間ローミング」を検討する会合が始まった。今後12月下旬をめどに方向性のとりまとめをする予定となっており、初開催となる今回は携帯電話キャリア(MNO)からのヒアリングを実施した。
総務省は9月28日、「非常時における事業者間ローミング等に関する検討会」の第1回会合を開催した。今回の会合では検討会の開催要項と検討すべき事項の確認と、業界団体や大手キャリアからのヒアリングを実施した。
検討会の概要
この検討会は2022年7月に発生したKDDIと沖縄セルラー電話の通信障害をきっかけに、災害や設備故障など非常事態が発生した際に、他の携帯事業者の通信ネットワークを利用する「ローミング」を行う制度を整備するかどうかを議論するために発足した。
非常時のローミングに関する議論は、2011年3月に発生した「東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)」を受けて行われたことはある。しかし、当時は事業者によって通信規格が異なる状況だったこともあり、具体的な検討は進まず議論はフェードアウトしてしまった。
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ある携帯キャリアの基地局に自然災害などで損傷や故障が発生した場合に、別のキャリアのネットワークにローミングできるようにするという議論自体は、東日本大震災を受けて行われた検討会でも議論されたものの、当時は3G通信の規格がキャリアによって異なっていたことからフェードしてしまった(総務省資料より:PDF形式)
今回設置された検討会では、主に以下の検討が進められることになる。
- 事業者間ローミングの対象とする通信の範囲
- 緊急通報に限るのか、一般の通話やデータ通信も含めるのか
- 事業者間ローミングを発動する要件
- 災害時に限るのか、通信事故が発生した場合も含めるのか
- 事業者間ローミング以外の非常時の通信の在り方
- Wi-Fi(無線LAN)などを活用するかどうか
この検討会の“ルーツ”は、先述のKDDIと沖縄セルラー電話における通信障害において、障害発生中の緊急通報(110/118/119番)の呼(発信)回数が有意に減少したという事実にある。そのため、検討会の議論は非常時において緊急通報をする手段をどうやって確保するのかという論点を最優先事項として進められることになる。
検討会の目的と検討事項。「目的」にも書かれている通り、携帯電話での緊急呼が増えている中で、携帯電話の通信ネットワークに障害が発生しても何らかの形で通信(特に緊急呼)できる方策を考えていくことになる(総務省資料より:PDF形式)
2022年7月のKDDIと沖縄セルラー電話における通信障害では、両社から都道府県警察本部への緊急呼(110番通報)が平時と比べて約45%減少したという。両社から東京消防庁(東京都特別区と稲城市を除く本州の市町村)や政令指定都市の消防局への緊急呼(119番通報)も平時と比べて約63%減ったという。他キャリアの携帯電話からの緊急呼は多少増えているが、減少分を全てカバーした状況になかったようだ(総務省資料より:PDF形式)
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