iPad ProがWi-Fi 6Eとミリ波に対応して登場――日本ではどちらも使えないというのが残念:石川温のスマホ業界新聞
Appleが10月26日に発売した新しい「iPad Pro」は、6GHz帯の無線LAN「Wi-Fi 6E」に対応している。Celluarモデルはミリ波の5Gも利用可能だ。しかし、Wi-Fi 6Eは日本と中国では利用できず、ミリ波の5Gは米国向けモデルのみの対応となる。日本ではどちらも使えないのは残念である。
アップルはiPad(第10世代)とiPad Pro(第4世代)を10月26日に発売すると発表した。
iPadはデザインが大きく変わり、ホームボタンが消滅。デザインテイストがiPad ProやiPad Airなどと同系統になった。Lightning端子からUSB-Cに変更となったものの、Apple Pencilは第2世代ではなく、第1世代が踏襲され、USB-CからLightning端子に切り替えるアダプターを経由して充電するという謎仕様となっている。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年10月22日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
通信業界的に注目なのがiPad Proだ。Wi-Fi 6Eと5Gはミリ波に対応している。しかし、Wi-Fi 6Eは日本と中国は非対応。ミリ波に関してもデバイスとしては対応しているものの、アメリカなどの周波数帯のみ対応で、日本で展開しているn256には非対応。結果として、日本でミリ波は使えないことになっている。
アップルとしてはiPhoneもアメリカ向けはミリ波対応に積極的だが、日本向けではミリ波に対する意欲すら見られない。
なんとなく取材をすると「日本の5GはSub-6がメインなんでしょ」として、ミリ波への対応は優先順位が低そうな感が伝わってくる。
日本で半分近いシェアを誇るiPhone、さらにタブレット市場で一人勝ちを続けるiPadがミリ波に全く対応しないとなると、日本のミリ波はいつまで経っても浸透しないのではないか。
あるキャリア幹部も5Gスタート時には「ミリ波は難しい周波数帯だ」として、当面はSub-6でエリア展開を図っていくと語っていた。
Wi-Fi 6Eも日本でようやく対応Wi-Fiルーターなどが登場してきたが、Wi-Fiルーター間の通信にとどまるなど、デバイスでのWi-Fi 6Eの恩恵を受けられるまでに至っていない。
先日、発売となったグーグル・Pixel 7、Pixel 7 Proはn79というNTTドコモしか持たない周波数帯に対応していないということで、NTTドコモでは採用されていない。n79は日本ではNTTドコモだけ、世界でも中国がメインであり、グーグルとしても優先順位が低いようだ。
本来であれば、総務省がキチンと世界の周波数割り当て状況を把握し、世界と同じ周波数帯を割り当てれば良かったのではないか。そうすることで、世界で流通しているスマートフォンやタブレットが日本に輸入されやすくなるはずだ。
世界のメーカーが対応しない周波数帯があるということは、それだけ電波が有効活用されないという状況につながりかねない。
総務省はキャリアに対して「電波の有効活用」を求めるが、有効活用したくてもできない周波数帯を割り当てる総務省も、その責任を負う必要があるのではないだろうか。
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