IIJmioが“格安SIMのセット端末”を拡充する理由 スマホ以外も販売、回線契約なしでもOK:MVNOに聞く(3/4 ページ)
IIJmioでは端末の販売にも注力しており、回線数の伸びとともに規模を拡大している。当初はIIJmioのユーザーに限定して端末を提供していたIIJmioサプライサービスだが、2022年8月に提供条件を変更した。特筆すべきは、そのバリエーションの多彩さだ。
転売のリスクは高まるが、しっかり対策を行う
―― ただ、他社、特に0円廃止が理由で移ってきたユーザーは、流動性が高いと思います。端末を割引価格で入手したら、すぐに次のMVNOに移ってしまうのはリスクだと思いますが、いかがでしょうか。
辻氏 そこは一番気にしていたところです。転売リスクが高まったり、結果として反社につながったりしてしまうのは避けたかった。それもあり、転売した場合の利益の在り方などもよくよく見ながら、コントロールをしています。転売される方の申し込みを、いかに減らせるか。それによって、結果的には、短期解約や転売は(あまり)出ていません。
永野氏 楽天から移ってきた方も、売れるから安く買うというのではなく、AQUOS senseのように、どう考えてもメインで使うだろうという端末を買われています。
―― 逆に言うと、転売されやすい端末があるということですね。
辻氏 中古の買い取り価格があり、転売される方はそこをよく見ています。ちょっと値動きがあると、その機種に集中してしまう。ここがルーズになると、意図しないことになってしまいます。われわれとしても、そういったところはしっかり対策を行いながら販売していきたいと考えています。
「Nothing Phone(1)」の取り扱いは、Qualcommの紹介がきっかけ
―― そのような売れ筋の端末だけでなく、比較的新規参入のメーカーにも寛容なイメージがあります。最近だと、「Nothing Phone(1)」も取り扱いました。ああいった端末は、ディストリビューター経由でお話が来るのでしょうか。
永野氏 そういったケースもありますが、Nothing Phone(1)に関しては別で、ネットワーク部門がQualcommとお話をしている中で、紹介されたことがきっかけです。日本に来ようとしているので話をしてみてほしいとつないでいただきました。
辻氏 最初のモデルはドキドキしますね(笑)。物としての品質がどうなのかもありますから。第1弾モデルには何かしらありますが、この2人(永野氏と久保田氏)がよくチェックしてやっています。
―― 品質管理をしているということですね。
永野氏 念入りにやります。
辻氏 ただ、メーカーほど細かいところまで見ることはできません。逆に、何かあったときのサポート体制や、どういうところにどんな拠点を設けているかなどは、よく見るようにしています。日本法人や拠点担当、保守体制などでかぎ分けています。
―― それがダメで弾かれてしまった端末もあるのでしょうか。
辻氏 危険な匂いがするのでやめた、ということはあります。
永野氏 逆に、MVNOの販売をIIJから始めたメーカーは意外と多いですね。1モデルで終わってしまいましたが、「Essential Phone」もこちらからお声がけして販売が実現しました。OPPOも、私が直接ドアをたたきに行きました。販売の半年ぐらい前から、ローカライズや検証に関わっています。そういったことに親身にご対応いただけたこともあり、取り扱わせていただきました。
辻氏 メーカーにお声がけいただけるのは、ありがたいことです。
OPPO、Xiaomi、モトローラが人気
―― eSIMのように、IIJがネットワークに入れようとしている機能の採用を、メーカーに働きかけるような活動もやっているのでしょうか。
永野氏 出す前から働きかけをしていたこともあり、その次のモデルから採用が始まっていきました。eSIMに関しては、今年になってからだいぶ需要が変わってきています。アンケートを取ると、特にミドルレンジモデルを購入される方がeSIMを重要視することが多くなりました。ローエンドだとそこまでではないのですが、今年はeSIMを使える端末の方が売れていますね。KDDIの一件(大規模通信障害)があってから、できれば次はeSIMに対応していた方いいという意見が増えています。
―― ちなみに、メーカー別だと売れ筋はどこになるのでしょうか。ベスト3などを挙げていただくことはできますか。
辻氏 順位はつけづらいですが、人気があるのはOPPO、Xiaomi、モトローラです。売れているのはやはりミッドレンジですね。
永野氏 例えばOPPOだと、Renoシリーズはやはり人気が高いです。モトローラは今までだとミドルローのgシリーズでしたが、今年は「moto g52j 5G」にチャレンジしたこともあり、非常によく売れています。XiaomiはXiaomiが欲しい方がいて、満遍なく売れていますが、パイが大きいのは「Redmi Note 11」ですね。
久保田氏 5Gにこだわらない方もいるので、そういった方に(5G非対応ながらその分安価なRedmi Note 11が)売れています。
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