総務省がKDDIに端末販売割引で行政指導を実施――3Gサービス終了後の端末割引は誰にとって悪なのか:石川温のスマホ業界新聞
総務省が12月16日、KDDIに対して携帯電話の値引き販売に関する行政指導を行った。KDDIが3月末にサービスを終了した3G携帯電話サービスの元契約者に対して電気通信事業法の上限を上回る値引きをしていたことを問題視したようだが、本当に誰のための行政指導なのか疑問がある。
12月16日、総務省はKDDIに対し行政指導を行った。
KDDIは2022年3月31日付けで3Gサービスを終了しているが、2022年4月1日~5月12日までの間に、3Gサービスを契約していたユーザーに対して、4G・5G対応機種を新たに購入する際に、法令で定めれた上限を上回る割引販売を7473件、行っていた事実が問題視された。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年12月17日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
電気通信事業法では、通信契約とセットにした端末代金の割引などの利益提供を税別2万円までに制限している。ただし、例外として周波数帯の移行や、新規受付を終了した古い世代のサービスの利用者が、新たな通信方式に対応するために端末を購入する場合は、上限を超える割引が許されている。
総務省の言い分では3Gサービスが終了した4月1日以降は、3Gしか対応しない端末を持っているユーザーであっても3Gサービスの利用者ではないため、例外には当たらないというのが理由のようだ。
KDDIや販売代理店とすれば、3月31日が経過し、3Gサービスが実際に使えなくなって、ようやくサービス終了に気がつき、ショップに訪れたユーザーに対して、3月31日まで行っていた端末割引を適用するというのは当然のことのように思う。
4月1日以降、電波が繋がらず「3Gサービスの利用者ではない」という総務省の理屈はかなり強引だ。
4月1日以降、例外的な割引が適用できないからと、2万円までの割引だけで乗り換えを促すというのは3Gを使ってきたユーザーにとっても酷ではないか。
そもそも、総務省は誰のために法令を作っているのか。国民が豊かな生活を送れるために法令を作るものではないのか。4月1日以降、電波が繋がらなくて困ってる人は国民ではないのか。もはや法令のあり方が本末転倒のような気がしてならない。
一方で、気になるのが今後だ。KDDIは3Gサービスを2022年3月31日に終了したものの、ソフトバンクは2024年1月31日に、ドコモは2026年3月31日にそれぞれ終了する予定だ。
この2社は終了日までに3Gユーザーを巻き取らないことには、終了日以降、3Gユーザーに対して例外的な割引を適用せずに4Gもしくは5G端末を売らなければならない。
3G端末が圏外になったのでショップに慌てて飛び込んだものの「総務省の決まりで昨日まで安売りしていた端末を安く売れない」とユーザーは店員から突っぱねられてしまうのだ。
ユーザーは途方に暮れるし、キャリアも契約を失いかねない。間に立たされるショップ店員さんが不憫でならない。
3G端末が使えなくなって困っているユーザーのための割引は悪なのか。国民本位ではない法令など、すぐにでも廃止すればいいのではないだろうか。
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