SIMフリーGalaxyは継続投入、高価格スマホに逆風でも「需要ある」 キーパーソンが語る日本戦略(1/3 ページ)
Galaxy S23シリーズの発売を前に、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)のモバイル事業責任者であるTM Roh氏が来日し、日本の報道関係者とのインタビューに応じた。サムスン電子にとって、日本市場はどのように映っているのだろうか?
4月13日、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)でGalaxyスマートフォンを始めとするモバイル製品事業の責任者を務めるTM Roh氏が来日し、報道関係者とのグループインタビューに応じた。この記事では、インタビューの模様を一問一答形式で紹介する。
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Galaxy S23シリーズの“4つのポイント”
インタビューの冒頭、Roh氏からあいさつとGalaxy S23シリーズの概要説明があった。
Roh氏 皆さま、お集まりいただきありがとうございます。サムスン電子は4月6日、日本でGalaxy S23シリーズを発表しました。購入予約を開始してから1週間がたちますが、前作よりも多くの方に予約をいただいています。大容量モデルを投入したファントムブラックを始め、全ての製品カラーが偏ることなく、予約が入っている状況です。
Galaxy S23シリーズは、接続性、ゲーミング体験、カメラ体験など、1つ1つにこだわっています。特に根幹の機能であるカメラ体験は、夜景を撮影できるナイトグラフィー、ビデオ撮影の性能をさらに強化し、映画のレベルまで高めました。また、Qualcomm(クアルコム)との戦略的な提携によりハードウェアを再設計し、ソフトウェアも最適化し、Samsung Galaxyとして史上最高のユーザー体験を実現しました。
Roh氏 発売に先立ち、日本でのパートナーであるキャリアの皆さまにも(新機種を)お見せして、フィードバックを受けています。サムスン電子の従業員のみならず、日本のキャリアやパートナーのみなさまにも高い期待を受けていると実感しました。Galaxy S23シリーズの投入を契機に、日本のユーザーに愛されるGalaxyシリーズへと、さらにまい進したいと考えています。
なぜ「Galaxy」から「Samsung」に?
Roh氏からのあいさつの後、早速インタビューが開始された。
―― 今回、日本市場向けの製品に印刷されているロゴを「Galaxy」から「Samsung」に変更しています(参考記事)。ブランド変更の狙いについて、お聞かせください。
Roh氏 サムスンは、Galaxyスマートフォンを日本市場に投入し続けて10年になります。消費者に満足できる製品を提供する努力を続けてきました。一方で、日本ではGalaxyブランドを中心に展開してきたため、サムスンとしてのブランド認知はまだまだ足りない部分と考えています。サムスン電子の社内や、キャリア各社などの協議を経て、ブランド戦略の展開(変更)を決定しました。
調査によると、2022年まで3年間で、グローバルで認知されているブランドとして、サムスンは5位にランクインしていて、認知度は継続的に向上しています。(そこで)今回、4月20日に発売されるGalaxy S23シリーズから、製品やアプリのロゴをグローバルと同じサムスンブランドに統一することとしました。
Galaxy S23シリーズからは、日本でもGalaxyよりもサムスン(Samsung)を前面に出したブランド戦略を取ることになった(画像はNTTドコモ向けの「Galaxy S23 Ultra SC-52C」)
Galaxy S23シリーズの“強み”は?
―― Galaxy S23シリーズの特徴について、改めて教えてください。
Roh氏 Galaxy Sシリーズは、ユーザー体験を革新するフラグシップです。顧客が最も望む要求を満たす、新しい機能を提供して続けています。
最近のスマホは、ハードウェア、ソフトウェア、AIなどのアルゴリズムを一体として有機的に動作するように変化してきています。Galaxy S23シリーズにおいても、それぞれの要素を磨き、製品全体として体験を向上されるように、開発に取り組みました。
製品の企画段階から生産まで、重視したのは、消費者の意見を取り入れて、製品に反映させることです。大別して、4つのニーズがあると認識しています。
1つは「カメラ」、S23シリーズで特に注力して強化した機能です。カメラでは、動画、夜間の撮影、共有などの周辺機能まで提供できるように、ハード・ソフト・AIの全ての要素を総合して、開発を進めました。
2つ目は「ゲーム」です。ゲームを安定してプレイできる性能を担保すること、そして、最高のパフォーマンスを維持するためのバッテリー持ちにもこだわりました。Qualcommとの提携により、独自APIを含む専用のチップセット「Snapdragon 8 Gen 2 for Galaxy」を開発したほか、製品の動作を支えるAIアルゴリズムも強化しています。
3つ目は、「ユーザー体験(UX)」です。Galaxy独自の「One UI」により、スマホを使うあらゆるシーンでの操作性の向上に努めています。
そして、4つ目に注力した点が「サステナビリティー」です。特に若い世代では、持続可能性に対する関心が高まっていると感じています。S23シリーズでは、環境に優しい素材やリサイクル素材を利用する比率を前作より高めました。また、5年に渡りセキュリティアップデートを延長するなど、サポートも強化し、より長く使えて環境に優しい製品へと進化させています。
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