SIMフリーGalaxyは継続投入、高価格スマホに逆風でも「需要ある」 キーパーソンが語る日本戦略(2/3 ページ)
Galaxy S23シリーズの発売を前に、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)のモバイル事業責任者であるTM Roh氏が来日し、日本の報道関係者とのインタビューに応じた。サムスン電子にとって、日本市場はどのように映っているのだろうか?
日本市場でのSIMフリー投入は“継続”
―― 世界的にインフレが進んでおり、日本では円安も進んでいます。Galaxy S23シリーズのようなプレミアムモデルには逆風となるのでしょうか。
Roh氏 スマートフォン市場は、グローバル規模でも需要低下の傾向にあります。原材料の値上がりなど、製品投入の上で逆風となる要素もあります。特に、最上位のGalaxy S23シリーズにとっては、厳しい状況ともいえます。
一方で、新型コロナウイルス感染症による在宅時間の増加などで、ユーザーがスマートフォンに触れる時間は増加傾向にあると認識しています。あらゆる面で品質を高めたプレミアムな製品のニーズは確かにあり、(今後は)持続的に高まっていくと考えています。
―― 日本市場についての見解をお聞きします。政府の規制や円安などの影響で、高価格帯のスマートフォンが選ばれにくい市場に変化しつつあると考えています。サムスンはこれまで、日本ではキャリア向けの販売に特化していましたが、2022年には初のオープンマーケット向け(SIMフリー)モデルとなる「Galaxy M23 5G」を発売しましたが、日本市場での戦略についてお聞かせください。
Roh氏 日本のモバイル市場の規模は、グローバルレベルで5〜6位に位置しており、依然として非常に大きな市場と考えています。そして、製品の品質に対する消費者の期待が高いことも、日本市場の特徴です。高い品質を求める日本市場で成功してこそ、グローバルでの成功があると考えています。
そしてスマートフォンにおいては、やはりプレミアム製品のシェアが非常に高いと考えています。サムスンとしては今回発売されるGalaxy S23シリーズや、ミドルハイクラスの「Galaxy A54」を含めて、さまざまな選択肢に対応していきます。
SIMフリー市場での展開では、2022年にAmazon.co.jpで初のオープンマーケット向けモデルを発売しました。日本の消費者にさまざまな選択肢を提供するためにも、SIMフリーモデルの継続的に投入するべきだと考えています。
ただし、日本では携帯キャリアが優れた販売プログラムを作っているため、他の国の市場のようにオープンマーケットで成功できるのかは、メーカーとして悩みどころです。ですから、「日本のキャリアとの協力を強化する」「新しいニーズに対応する選択肢を提供する」という、2つの販売戦略を並行して継続していく方針です。
GalaxyブランドのノートPCは投入する?
―― Galaxy S23シリーズでは、Galaxyブランドの周辺製品とのシームレスな連携が訴求ポイントの1つとなっています。一方で、日本ではGalaxyブランドのノートPCが投入されていないため、訴求力に欠ける印象もあります。PCを含め、スマホ以外の製品を日本でどのように展開していくか、現時点でのお考えをお聞かせください。
Roh氏 「ノートPCを日本に投入しないのか?」というご質問ですね。日本のモバイルPC市場は非常に発達しており、国内メーカーも多くの良い製品していて、消費者の要求水準も高い市場だと理解しています。その水準に合わせた製品を投入するには、綿密な準備が必要です。いつ、どのような形態で投入するかは悩ましく、慎重な判断を要すると考えています。
結果として、サムスンは現時点で日本でPC製品を投入していませんが、他社とのオープンな協力のもと、スマホとPCとの間での製品体験を向上させていきたいと考えています。例えば、WindowsやChromeOSといったPC向けOSとの互換性を強化することで、PCメーカーを問わずに、Galaxyスマートフォンとスムーズに連携できるようにしています。
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