京セラが個人向け携帯電話事業から撤退へ ただし高耐久スマホ「TORQUE」は継続予定
京セラが、個人向け携帯電話事業から撤退することが明らかになった。携帯電話事業を含むコミュニケーション事業が苦戦していた。高耐久スマートフォン「TORQUE」や、法人向け携帯電話は引き続き開発していく。
京セラが、個人向け携帯電話事業を終了することが明らかになった。5月15日の決算説明会で、谷本秀夫社長が明言した。2025年3月に個人向け携帯電話の販売を終了する。サポートの終了時期については未定。なお、法人向け携帯電話の開発は継続する。
京セラの2022年度の連結業績では、携帯電話事業を含むコミュニケーション事業の売り上げが前年比545億1300万減の2077億9300万円、営業利益が前年比270億1700万減の117億2900万円の赤字だった。携帯電話の販売台数が大幅に減少しており、苦戦を強いられていた。
個人向け携帯電話事業を撤退する理由について同社は「個人向け携帯電話事業は海外勢が強く、採算性が課題だった。京セラはB2Bが主力で、キッティングや修理対応などのサービスソリューションに注力している。法人向けに軸足を移した方が強みを生かせると考えた」とコメント。同社の個人向けと法人向けの携帯電話事業は、売り上げの比率が50%ずつだという。より採算性の強い法人事業に注力することで、業績改善を目指す。
MM総研の調査では、2022年の国内携帯の出荷台数シェアで、京セラは6位の5.2%に甘んじており、シャープ(11.7%)、FCNT(10.5%)、サムスン電子(9.5%)、ソニー(7.6%)に差をつけられていた。
ただし同社によると、個人向け携帯電話事業の全てを終了するわけではないという。「厳密に言うと、汎用(はんよう)的な個人向け携帯電話事業の撤退が正しい」とのこと。現在、個人向けと法人向けに提供している高耐久スマートフォン「TORQUE」は、2025年以降も継続する予定だとしている。
京セラは主に初心者やライトユーザーを対象としたDIGNOブランドのスマートフォンやケータイ、子ども向けにキッズケータイ、シニア向けにかんたんスマホやあんしんスマホ、BASIOなどを展開。アウトドア志向のユーザーに向けてはTORQUEも話題を集め、カシオ計算機のG'zOneシリーズ最新モデル「G'zOne TYPE-XX」を手掛けたこと記憶に新しい。ちなみに、同じく携帯電話事業からの撤退を表明したバルミューダの「BALMUDA Phone」も京セラが開発したモデルだった。
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