変化が乏しい「OPPO Reno9 A」が先代より130%売れているワケ 貫いた開発思想に迫る(3/3 ページ)
OPPOの日本専用モデル「Reno9 A」が先代の「Reno7 A」よりも130%売れているという。Snapdragon 695を維持したことが物議を醸しているが、価格を優先した結果。ハイエンドモデルの日本投入についても聞いた。
ハイエンドモデルをいち早く投入できる体制の確立が必要
―― 今現在、OPPOは主力がミッドレンジのReno Aシリーズで、よりスペックを抑えたエントリーモデルも展開しています。エントリーモデルも好調なのでしょうか。
河野氏 おかげさまで売れています。
―― やはり、そういった端末が売れているのはキャリアやMVNO経由でしょうか。
河野氏 そうですね。MVNOとは調整をしながら、価格を合わせていくようなこともやっています。やはりメーカーとしての理想はマルチキャリアです。そうなれば、価格競争力も働き、極端にキャリアモデルだけが高いということもなくなります。
―― 日本では昨年(2022年)、ハイエンドモデルの投入がありませんでした。より上の価格帯をそろえていくという選択肢はありますか。
河野氏 利益とは別に、OPPOというブランドが持つテクノロジーのショーケースとして、日本のお客さまにフラグシップの製品を触っていただく機会を作りたいとは常に思っています。
しかしながら、われわれには企業理念としての「本分」(その人が本来尽くすべき務めという意味合い。京セラの創業者、故・稲盛和夫氏の経営哲学に影響を受け、OPPOの理念として採用した)があります。自分たちが利益を独占してはならない、利害関係者とともに利益を分かち合う企業でありたいと思っています。
そうすることでブランド価値を高めることができます。近江商人の「三方由」という話がありますが、お客さまからは買ってよかった、販売店も勧めてよかった、さらにはメディアの方が論評してよかったというものを出したい。販売パートナーと一緒にどこまで訴求できるかで、その価値観が合った場合、世に出そうと考えています。
―― 障壁になっているのは、どのようなところですか。
河野氏 そもそもAndroidのハイエンドは数が出ないのが1つの悩みです。私どもにも直営のオンラインショップがあり、そこでご購入されている方もいます。われわれにとっても、非常にありがたいと感じています。そういった方の気持ちに応えるためにも、キャリアとしっかりタイアップし、ハイエンドモデルをいち早く投入できる体制の確立は必要だと思っています。ご期待ください。
―― やはり、パートナーありきですか。
河野氏 まずパートナーありきです。これはどのメーカーも同じですが、その中で、一部のコアな方は直販で買っているのが実態です。
―― パートナーという観点で言うと、Reno9 AはauやUQ mobileでの取り扱いがなくなってしまいました。これは影響があったのでしょうか。
河野氏 大きいですね。売り上げ比率はやはり契約者数に比例するところがあるからです。MVNOのマーケットは多くても全体の10%、それ以外の90%がキャリアで、そのキャリアも4つに分かれます。
―― ただ、売れ行きが130%というお話もありました。他でカバーできているということでしょうか。
河野氏 おかげさまで好調です。「そんなに形も変わってないし、スペックも同じだから売れないのでは」と号令がかかっていたところからも、ふたを開けたら予想以上に売れ、至急追加で調達したいというお声をいただいています。
取材を終えて:Reno9 Aの投入意図には納得も、ハイエンド機も欲しい
スペックは昨年発売されたReno7 Aから大きな進化がなかったReno9 Aだが、やはりコストや為替との戦いが大きかったことが分かる。円安が急激に進んだこともあり、機能を維持しただけでも価格が上がってしまうからだ。ここで機能を向上させると、ミッドレンジモデルに許容されるコストを超えてしまう恐れもあった。インタビューからは、Reno Aシリーズに何が求められているかを考え抜いた末の結論だったことがうかがえた。
一方で、2022年はハイエンドモデルの投入を見送っており、OPPOとしての実力を示せていない。Find Xシリーズは21年の「Find X3 Pro」を最後に、Find X4、Find X5と投入が見送られている。フォルダブルスマホも縦折りの「Find N Flip」シリーズや、横折りの「Find N」シリーズを展開しているものの、日本には未上陸だ。メーカーとしてのブランドイメージを作りやすいだけに、ハイエンド不在が長期間続くのは、OPPOにとってじわじわと痛手になる可能性がある。投入の意思はあるようにも見えたため、今後の展開に期待したい。
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